日本有数・サラブレッドの産地「日高」から…レース地まで競争馬を安全に送り届ける「馬匹(ばひつ)輸送」の実態【プロフェッショナルに聞く】

日本有数・サラブレッドの産地「日高」から…レース地まで競争馬を安全に送り届ける「馬匹(ばひつ)輸送」の実態【プロフェッショナルに聞く】

いまやギャンブルの枠を超え、多くの人々を魅了する競馬。その華やかな舞台で躍動する競走馬たちを支えるのは、数多くのプロフェッショナルたちです。そのなかでも、馬を安全かつ確実にレース地まで送り届ける「馬匹(ばひつ)輸送」という仕事は、縁の下の力持ちとして重要な役割を担っています。本稿では、白川典人氏の『バックステージの走者 競走馬を運ぶプロフェッショナルの使命』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集し、競馬を支える知られざる舞台裏、馬匹輸送の世界に迫ります。

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日高から始まる30時間超の長旅

雄大な日高山脈を背にした牧場の早朝――草地の夜露が朝日に照らされて輝く中、厩舎のほうからゆったりとした足取りでやって来る数頭の馬の影が見えてきます。光を浴びて揺れるたてがみ、馬体から立ち上る湯気がかすかに揺らめいています。

 

牧場の飼育係に連れられてやって来る馬たちの姿を確認すると、待機していたドライバーがボタンを操作し、馬を専用のトラックに積み込むためのスロープを下ろします。積み込む馬の多くは、これから競走馬としてデビューを目指す2~3歳のサラブレッドたちです。

 

2〜3歳というと小さな子馬を想像する人もいますが、人間の年齢でいえば16歳くらいです。すでに人を背中に乗せられるくらいの立派な体格を持ち、長い脚、小さな頭、そして肉づきが良い胸部や臀部は若々しさとたくましさを感じさせます。全身の筋肉も十分に発達しており、もしも人間が蹴られたり噛まれたりすれば大ケガにつながります。

 

それだけにドライバーは緊張感を持って積み込み作業を進めていきます。馬を刺激せず、決して真後ろに立つことがないように注意しながら、馬の表情や動きを観察し、どのような馬なのかを把握します。

 

一方の馬も、初対面のドライバーと、その横に鎮座する全長12メートルの大型トラック(馬運車)を見て緊張した様子です。野生の馬ほどではないにしても、牧場で育てられる馬もまた、未知のものに対して強い警戒心を持っています。馬にもそれぞれの個性があり、飼育係に引っ張られるまま素直にトラックに乗る馬もいれば、嫌がったり、牧場に戻ろうとしたりする馬もいます。そのような馬をなだめながら1頭ずつ丁寧に積み込みます。

 

積み込みを無事に終えたら、いよいよ出発です。牧場をあとにしてしばらくの間は、緑が豊かな日高地域を走ります。馬運車1台には最大6頭まで積むことができ、1カ所の牧場で6頭積むこともあれば、日高地域の複数の牧場を回りながら数頭ずつ積むこともあります。

 

さらに緑が広がる風景の中にのびる道を通って海へと向かい、4時間ほどかけて函館フェリーターミナルに到着します。そこから青森港行きのフェリーで津軽海峡を渡ります。そして本州に到着したあとは、2人のドライバーが交代でハンドルを握り片道30時間を超える輸送の旅が始まるのです。

 

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※本連載は、白川典人氏の著書『バックステージの走者 競走馬を運ぶプロフェッショナルの使命』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

バックステージの走者 競走馬を運ぶプロフェッショナルの使命

バックステージの走者 競走馬を運ぶプロフェッショナルの使命

白川 典人

幻冬舎メディアコンサルティング

馬主や生産者、ファンの期待と夢をのせて――。 華やかな競馬界を陰から支える馬匹(ばひつ)輸送の仕事。 その知られざる魅力を余すことなく紹介! 人馬一体となってターフを駆け抜けるその雄姿――。名馬たちが紡いで…

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