増加する外国人の介護福祉士
介護に携わる外国人が増えているだけでなく、介護福祉士の国家資格を取得して介護職に就く外国人も増えています。
出入国在留管理庁の調査によると、外国人の介護福祉士の数は2017年度の時点で約400人でしたが、2019年度には約1,300人になり、さらに2022年度は約6,900人に増えました。新型コロナウイルス禍の前後3年の間に5倍以上に増加したことになります。
外国人の介護福祉士がこれほど増えた要因の一つには、専門学校などの養成校で介護を学んでいた外国人留学生が、コロナ禍でも帰国せずに日本にとどまって勉強を続け、国家試験に合格したという事情があります。
また、2017年から始まった技能実習「介護」を利用して来日した外国人介護人材が、国家試験の受験要件となっている「3年以上の就労・研修」を満たすタイミングを迎えて介護福祉士の試験に合格する人が増えたということもあります。
いずれにせよ、介護福祉士の資格を持っていれば手当がつく施設が多いため、外国から日本に働きに来ている介護人材は給与が増えることを期待して、熱心に資格試験に取り組む傾向があります。
こうして、まだ少ないとはいえ、外国人の介護福祉士をはじめとする介護人材が働く施設は少しずつ増えています。介護労働安定センターの「介護労働実態調査」(2022年度)によると、13.1%の事業所が外国人介護人材を受け入れていると回答しました。
内訳としては、技能実習生が4.4%、在留資格「特定技能1号」が3.5%、在留資格「介護」が2.6%、EPAが0.7%です。
また、同調査で外国籍労働者を新たに活用する予定があるかを聞いた質問では、13.1%の事業所が「新たに活用する予定がある」と回答しました。内訳は技能実習生が43.2%、在留資格「特定技能1号」が42.4%、次いで在留資格「介護」が37%、EPA(経済連携協定)が12.8%となっています。
介護事業所全体の数からすると、まだ割合が多いとはいえませんが、外国人介護人材の活用に踏み出すところが徐々に増えてきている状況が調査結果から見えてきます。
井筒 岳
社団医療法人啓愛会
理事長