(※写真はイメージです/PIXTA)

会社に不利益をもたらす存在である、問題社員。いくら会社に悪影響があったとしても、安易に解雇すると違法と判定され、かえって金銭を支払わなければならないリスクがあります。そこで今回は、ココナラ法律相談に掲載中の西明 優貴弁護士に「問題社員に対する正しい対応手順」について解説いただきました。

問題社員に対する正しい対応手順

1.問題類型の把握と整理

問題社員に対応するには、まず、問題類型を把握、整理します。そして、問題社員はどの類型に当てはまるのかというのを考えることが重要です。弁護士の立場から類型を整理してみると、以下のようなものが挙げられます。

 

・勤務態度不良

・金銭面の不正行為

・職場内外、私生活上の不正行為

・人事異動、人事考課、懲戒への抵抗

・情報漏洩

・競業避止、引き抜き

・メンタルヘルス

・ハラスメント

・IT関係への導入反対と反抗

 

このようにさまざまな類型が存在するため、一般論を振りかざすのではなく、1つひとつの事案に向き合って、問題社員はどの類型に当てはまり、どういった点が特殊事案なのかという点を考える必要があります。

 

2. 改善命令と退職勧奨

次に事案に応じて、改善命令等の命令と退職干渉について、その順番を考えましょう。改善命令と退職干渉の順番には、大きく以下の3つのケースがあります。

 

・改善命令をしてから退職勧奨を行うケース

・改善命令と退職干渉が同時並行するケース

・改善命令を飛ばして退職勧奨になるケース

 

そもそも退職勧奨とは、従業員による自発的な辞職ないし合意退職を求めるもの。弁護士の観点から見た、経営者が退職勧奨をする理由は、「解雇の法規制から逃れられる」や「解雇と比較して解決金が少なくなる可能性がある」などのメリットがあるためです。

 

例として、解雇が違法無効になった場合の金銭については給与6ヵ月以上を支払う可能性があります。他方、退職勧奨の場合には、給与2ヵ月分相当額と、会社が支払うべき金銭は3分の1に収まる可能性があります。ただし、退職干渉もまた違法になる場合がありますので、退職勧奨さえすれば問題ないという安易な考え方には十分な注意が必要です。

 

続いて、具体的な事例をもとに問題社員に対する適切な対応方法について考えていきます。

 

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