最終催告状と督促状
「学校をやめたときの約束だから、必ず自分で払いなさい。すぐ払えないなら役所に行って相談するように!」と厳しく叱った勇さん。長男はうなずくばかりでした。
勇さんの勤務先は「就職人気ランキング」の10位以内に入る大企業。手取りは約80万円です。勇さん自身は52歳で就職氷河期だったにもかかわらず、誰もが知る食品メーカーに新卒で入社。順調に出世してきました。妻は勇さんの学生時代のゼミの後輩で妻自身も氷河期世代。働けることのありがたさを痛感している世代でもあるので、出産後も仕事を辞めることはありませんでした。
世帯年収は余裕で2,000万円を超える勇さん夫婦。もちろん、長男の国民年金については親が立て替えることも可能ですが、夫婦で話し合ってここは自分で責任をとらせることに決めました。
国民年金保険料の催促状は青色から始まり、黄色、そして赤色(ピンク色)の順番で届きます。実は青色と黄色の催促状が届いたときは長男がポストから取り出したため、両親に知られることはなかったのです。
程なくして赤色(ピンク色)の封筒、最終催告状が届き、最終的には勇さん宛に督促状が届く事態になってしまった時点で、勇さんは長男と話し合いました。一時は夫婦で「俺たちの育て方が甘かったのかな?」と弱気になったこともありましたが、「自分がどう生きるかは自分で決めることだから、学校をやめたことや定職についていないことについては責めるつもりはない。ただ、人に迷惑をかけることは絶対にするな! 今まで督促状は届いていたはずなのに、なぜひと言も相談や報告がなかったんだ」ときつく叱り、滞納していた保険料も延滞金を合わせても長男本人が払えない額ではないと判断し、分割して支払うよう手続きをとりました。ただ、さすがにこのときばかりは役所に2人で行き、手続きをとったとのことです。
長男はその後アルバイトの仕事を増やし、そのお金で未納分および延滞金を返済し、今はきちんと毎月保険料を支払っているようです。
国民年金保険料の未払いを放置しておくと、最終的には家族にもその催促がきます。なぜなら、世帯主はその世帯にいる被保険者の保険料納付について連帯義務を負うことが法律で決まっているからです。
今回のケースでは、そうなることを予想していたからこそ落ち着いて行動できたものの、実際には本当に払うお金がなく、未納の状態を続けてしまうケースもあるでしょう。その場合には自分だけではなく、家族に迷惑をかけることになるかもしれない点をしっかりと把握しておくことが大切です。場合によっては本人だけでなく家族の財産まで差し押さえられることになってしまいます。
ただ、最近では日本年金機構の名前を使った詐欺も見受けられます。催促状が届いた際には、慌てずに最寄りの年金事務所に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
杉原 杏璃 氏登壇!
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
(入場無料)今すぐ申し込む>>
注目のセミナー情報
【海外活用】1月22日(水)開催
「世界の高利回り不動産」セミナー
「世界のビザ」最新情報も徹底解説
【資産運用】1月22日(水)開催
《2025年最新・資産形成術》
「新NISA・住宅/不動産・保険」を賢く活用
超実践的ノウハウ
【事業投資】1月23日(木)開催
決算直前の節税対策!
エコカリファンド
《建築資材の仮囲い》を使用した税効果について税理士が解説
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】