俺たちの育て方が甘かったのかな…氷河期世代の〈勝ち組〉夫婦を戦慄させた一通の督促状。元凶は“自分探し”中の25歳・長男宛に年金機構から届いた「ピンク色の封筒」【CFPの助言】

俺たちの育て方が甘かったのかな…氷河期世代の〈勝ち組〉夫婦を戦慄させた一通の督促状。元凶は“自分探し”中の25歳・長男宛に年金機構から届いた「ピンク色の封筒」【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

勇さん(52歳)は妻と子ども2人(長女26歳、長男25歳)の4人家族です。長女は大学を卒業し就職しているものの、長男は現在フリーター。そんなある日、家に届いた赤い封筒を見て勇さんは愕然としました。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、子どもの国民年金保険料の支払いにおける注意点について解説します。

最終催告状と督促状

「学校をやめたときの約束だから、必ず自分で払いなさい。すぐ払えないなら役所に行って相談するように!」と厳しく叱った勇さん。長男はうなずくばかりでした。

 

勇さんの勤務先は「就職人気ランキング」の10位以内に入る大企業。手取りは約80万円です。勇さん自身は52歳で就職氷河期だったにもかかわらず、誰もが知る食品メーカーに新卒で入社。順調に出世してきました。妻は勇さんの学生時代のゼミの後輩で妻自身も氷河期世代。働けることのありがたさを痛感している世代でもあるので、出産後も仕事を辞めることはありませんでした。

 

世帯年収は余裕で2,000万円を超える勇さん夫婦。もちろん、長男の国民年金については親が立て替えることも可能ですが、夫婦で話し合ってここは自分で責任をとらせることに決めました。

 

国民年金保険料の催促状は青色から始まり、黄色、そして赤色(ピンク色)の順番で届きます。実は青色と黄色の催促状が届いたときは長男がポストから取り出したため、両親に知られることはなかったのです。

 

程なくして赤色(ピンク色)の封筒、最終催告状が届き、最終的には勇さん宛に督促状が届く事態になってしまった時点で、勇さんは長男と話し合いました。一時は夫婦で「俺たちの育て方が甘かったのかな?」と弱気になったこともありましたが、「自分がどう生きるかは自分で決めることだから、学校をやめたことや定職についていないことについては責めるつもりはない。ただ、人に迷惑をかけることは絶対にするな! 今まで督促状は届いていたはずなのに、なぜひと言も相談や報告がなかったんだ」ときつく叱り、滞納していた保険料も延滞金を合わせても長男本人が払えない額ではないと判断し、分割して支払うよう手続きをとりました。ただ、さすがにこのときばかりは役所に2人で行き、手続きをとったとのことです。

 

長男はその後アルバイトの仕事を増やし、そのお金で未納分および延滞金を返済し、今はきちんと毎月保険料を支払っているようです。

 

 

国民年金保険料の未払いを放置しておくと、最終的には家族にもその催促がきます。なぜなら、世帯主はその世帯にいる被保険者の保険料納付について連帯義務を負うことが法律で決まっているからです。

 

今回のケースでは、そうなることを予想していたからこそ落ち着いて行動できたものの、実際には本当に払うお金がなく、未納の状態を続けてしまうケースもあるでしょう。その場合には自分だけではなく、家族に迷惑をかけることになるかもしれない点をしっかりと把握しておくことが大切です。場合によっては本人だけでなく家族の財産まで差し押さえられることになってしまいます。

 

ただ、最近では日本年金機構の名前を使った詐欺も見受けられます。催促状が届いた際には、慌てずに最寄りの年金事務所に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。

 

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

 

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