(※写真はイメージです/PIXTA)

ねんきん定期便は毎年誕生日月にハガキで届きますが、35歳、45歳そして59歳のときにはハガキではなく封書で届きます。今月35歳になる夫に届いたねんきん定期便を見てびっくりした奈緒さん(32歳)はまさかの事態に慌てるばかりでした。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、未納になっている国民年金保険料の支払いについて解説します。

夫に届いたいつもと違うねんきん定期便

奈緒さんは3つ上の会社員の夫と子どもの3人暮らしです。これまで毎年受け取っていたねんきん定期便には目を通していたものの、さほど気にしていませんでした。

 

しかし今月35歳になる夫に届いたねんきん定期便はいつものハガキと違い、封書で厚みもあります。

 

奈緒さんは夫と一緒に夫のねんきん定期便を見ることにしました。

ねんきん定期便はハガキと封書で記載されている内容が違う

これまで奈緒さんが受け取っていたねんきん定期便はすべてハガキでした。そしてその中には保険料の納付額や直近13月の月別情報、年金加入期間、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。

 

しかし、封書で届くねんきん定期便には月別情報が全期間に渡って掲載されているほか、これまでの年金加入履歴が記載されており、今までの加入実績がより詳しくわかるようになっています。

学生納付特例制度を利用していた夫

夫のこれまでの加入実績を見てみると、20歳~22歳までの2年間、学生納付特例制度を利用していたことがわかりました。

 

学生納付特例制度は前年の所得が一定以下の学生であれば、申請することで在学中の保険料の納付を猶予してもらえる制度で、多くの学生が利用しています。

 

しかし、免除ではなく猶予のため、国民年金保険料を後から払わなければなりません。他にも国民年金保険料の免除制度や猶予制度はありますが、免除されている期間や猶予されている期間は反映されるものの、後から払わなければ年金受給額が減少するなどのデメリットがあります。

 

追納できる期限は10年

免除や猶予された国民年金保険料は後から払うことができます。このことを「追納」といい、追納が承認された月の前月10年以内の期間に限られます。奈緒さんの夫は35歳ですので、追納できる期間を過ぎています。これでは国民年金を満額受け取れません。

 

夫は追納制度を知らず、未納だという通知も来なかったため、満額受け取れないのは仕方がないと考え、できるだけ定年後も働いてその分補塡するといっています。しかし、先のことはかりません。

 

満額受け取れる場合と満額受け取れない場合の差はどのくらいなのでしょうか?

 

今回のケースの場合、2年分(24カ月分)少なくなるので、2024年度の老齢基礎年金(満額816,000円)で計算すると40,800円少なくなります(受給額775,200円)。月々にすると3,400円の差です。

 

奈緒さんは専門家に相談しました。

 

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