「元本保証」の分、運用益はそれほど高くない
――かなり魅力的なはぐくみ基金ですが、注意点はありますか?
黒「はぐくみ基金の主な注意点は、以下の5つです」
・ランニングコストがかかる
・従業員の理解が必要
・年金・給付金額が減る可能性がある
・実績が少ない
・運用益はそれほど高くない
1.ランニングコストがかかる
黒「はぐくみ基金は、月に1人あたり、410円~490円の「事務費」という手数料が発生します。たとえば、加入者が100名だった場合は、100名×490円=4万9,000円となります」
――なるほど。大規模な会社だとそれなりのコストになりそうですね。
黒「ただし、これらは全額事業主の損金にできます。また、初期費用にあたる制度導入費は、標準制度であれば30万円程度とのことです」
――そうなんですね! ちなみに、ひとり社長も加入できますか?
黒「いえ、ひとり社長は加入できません。また、従業員数が少ない場合は初期費用やランニングコストをペイできない可能性があります。費用や事務手続きの手間などを考慮して、導入を検討することをおすすめします。
2.従業員の理解が必要
黒「また、はぐくみ基金導入時は、従業員への理解が不可欠です。制度を導入するのは会社ですが、実際に積み立てていくのは従業員です。将来的なメリットはありますが、現状の給与が減ることに抵抗感を覚える人もいるようです」
3.年金・給付金額が減る可能性がある
黒「はぐくみ基金に加入すると、先述のように社会保険料を減らす効果を得られることがあります。ただ、厚生年金や失業手当などの受け取り額が減少してしまうリスクがあります」
――それはどうしてでしょう?
黒「保険料は、給与額に基づいて算出される『標準報酬月額』に応じて変化していきます。ここで注意してほしいのが、厚生年金や失業手当なども、この額に応じて増減するということです」
――なるほど。退職時に積み立てたお金がもらえるとは思いますが、たしかにデメリットですね。
黒「はい。したがって、はぐくみ基金に加入する場合はシミュレーションを重ね、自身がどれくらい受け取れるのか、あらかじめ知っておいたほうがいいと思います」
4.実績が少ない
黒「はぐくみ基金がスタートしたのは、2018年とかなり最近のことです。そのため、正直、まだ未知数な部分があり、実績が少ないといえます」
5.運用益がそれほど高くない
黒「さらに、はぐくみ基金は『確定給付型』の企業年金基金です。これは、受け取る給付金があらかじめ確定しているというものです。資産のほとんどが安全性の高いファンドで運用されますし、もしも会社が倒産したり基金が解散したりした場合でも、法律によって積み立て額と利息は守られます」
――つまり、元本保証ということですか。
黒「はい。元本保証です。支払った掛金額より下回ることはありません。ただ、これはトレードオフになりますが資産はあまり増えません。
もちろんこの積立金を退職所得として受け取る場合、退職所得控除が適用になり税金的にお得に受け取ることはできますが、大きな運用益を期待できないという点には留意しておきましょう」
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黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
税理士法人グランサーズの新進気鋭の税理士が解説
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