実例:日本の「失われた10年」
実例として、日本の「失われた10年」と呼ばれる1990年代から2000年代初頭のデフレ期が挙げられます。
この期間、日本は深刻なデフレに苦しみ、消費者物価指数(CPI)は継続的に下落しました。この期間中、金の価格は相対的に低迷していました。デフレが進行するなかで、日本の投資家は現金を保持し、リスク資産への投資を控える傾向が強まりました。
また、国内経済の低迷が続くなかで、金の需要が大きく増えることはありませんでした。1998年には1グラムあたり865円という国内金価格の最安値(1978年の金輸出自由化以降)を記録しています。
ただし、デフレ期においても、すべてのケースで金の価格が下落するわけではありません。この点は、インフレ期においても複合的な要因で必ずしも金価格が上昇しないことと同じです。
たとえば、2008年のリーマン・ショック後、世界的にデフレ圧力が強まりましたが、その後の金融緩和政策とインフレ懸念から、金の価格は急騰しました。これは、中央銀行の積極的な金融政策がインフレ再燃への懸念を引き起こし、金が再び価値保存手段として選ばれたためです。
このように、デフレ環境下での金の価格は、一概に下落するとは限らず、ほかの経済要因や政策の影響を受けることがあることはつねに理解しておく必要があります。
また、金の価格に影響を与えるものとして、実際に発生したインフレやデフレだけでなく、将来のインフレ・デフレに対する「期待」があることも重要です。
たとえば、将来的なインフレが予想されると、投資家は早めに金を購入しはじめ、その結果その時点での需要が高まることで、金の価格が上昇するということがあります。
現在の金市場の動きは、将来に対する「期待」を投資家が織り込んでいる可能性があることも忘れてはいけないのです。
菊地 温以
株式会社アプレ代表取締役
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