離婚後の「年金支払い」…「配偶者の扶養内だった人」は“役所”へ走るべき理由【弁護士が解説】

離婚後の「年金支払い」…「配偶者の扶養内だった人」は“役所”へ走るべき理由【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

離婚は、離婚届を出せばすぐにできると思われがちです。しかし、実際にはさまざまな手続きがあるため、かなりの時間がかかります。事前に必要な準備や、離婚後に必要な手続きをあらかじめ把握し、スムーズに進めていきましょう。本記事では、離婚時に必要な離婚手続きについてAuthense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。

離婚の手続きは離婚届だけではない

主な離婚の手続き
[図表1]主な離婚の手続き

 

離婚届さえ出せば離婚は成立すると思われがちですが、実際はそう簡単ではありません。スムーズに手続きを行うためには、事前の準備が非常に大切なのです。具体的にどのようなことをすればよいのかをみていきましょう。

 

離婚前に住居を決めておく

離婚前の段階で別居している、もしくは実家が近くにある人は問題ありません。しかし離婚後に引っ越しを考えている人は、早めに探しておくことをお勧めします。春先の引っ越し繁忙期は避けるようにしましょう。

 

また、別居に関しての注意事項があります。夫婦には、お互いに助け合い同居生活を維持する義務、「同居義務」というものがあります。別居とは、同居義務を破棄したということです。

 

配偶者が離婚を認めてくれないという場合には有効な手段となりますが、話し合いもせずいきなり家を出て行ってしまった場合は、いわゆる「悪意の遺棄」に当たるケースなど、慰謝料を請求されてしまうケースも存在します。相手へ悪意を持って見捨てることを、「悪意の遺棄」といい、民法上の悪意の遺棄が成立してしまった場合、自分からの離婚請求ができなくなる、慰謝料が請求される、といったリスクが発生するかもしれません。事前にある程度の話し合いは必要です。

 

生命保険の受取人の変更

生命保険の受取人が配偶者になっている場合、離婚前に病気や怪我をしてしまうと、お金は配偶者が受け取ることになります。早めに親族に移しておいたほうがよいでしょう。

 

財産分与を決めておく

結婚生活中の夫婦の財産をそれぞれの貢献度に応じ、配分することを財産分与制度といいます。その対象になるものは、

 

・現金

・預貯金

・家具

・不動産

・株式

・年金

・退職金

 

などが挙げられます。現段階でお互いの資産を把握し、値段のわからない不動産などは査定に出すとよいでしょう。

 

離婚協議書を作成する

離婚するうえでの取り決めは、形に残しておかないとトラブルの原因となることも多いものです。金銭に関するものなどは、書類がなければ支払いを法的に請求することが難しくなります。トラブルの回避や法的な支払い請求のためにも、離婚協議書を作成しましょう。しっかりとしたものを作成するべく、弁護士に依頼することをお勧めします。

 

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