入院費、心づけ・・・思いがけない出費も発生
■すぐにいろいろ出費がかさむ
1.病院への支払い等をすませる準備はできているか
治療費、差額ベッド代、病衣レンタル代等、入院費用は思いのほか高額になる場合もあります。あらかじめ、緊急の場合に備えて、現金を用意するなど準備しておきたいものです。最近では、カード支払いの可能な病院もありますので、入院時に確認しておきましょう。
故人に「万一に備えて準備しておきたい」という気持ちがあって、当座の支払いにあてる預金口座のカード、暗証番号、印鑑などを、信頼する家族に託しておくことが一番ですが、本人はそんな準備に思い及ばないまま亡くなることも多いでしょう。やはり家族の間で心づもりをしておく必要があります。
また、遺体搬送にかかる費用その他、手伝ってくださる方への車代など、こまごました出費も必要になります。心づけの類も、それを入れる小封筒を含めて準備しておかれるとよいと思います。
2.葬儀その他の費用の準備も
日本消費者協会の葬儀についてのアンケート調査結果によると、全国の葬儀費用の平均額は、200万円に近い金額です。
一口に葬儀といっても、式の費用は葬儀の形式、規模、地方の習慣などにより大きく差が出ます。また飲食代などについても、葬儀に出席する人の数により金額も大きく変わってきます。最近では、身内のみの少人数で葬儀を済ませてしまう「家族葬」にすることもあるため、必ずこの平均額がかかるというわけではありませんが、一応の目安にはなります。
葬儀を執り行った寺院などへのお礼は、規定を設けているところもありますので、事前にいろいろ確認しておかれるとよいでしょう。戒名(法名)料金も含めて、葬儀の翌日か初七日までにお礼を持参しなければなりません。
「見積書」を出してくれる葬儀社を選ぶ
■葬儀社の選び方
1.葬儀社の言いなりに陥る危険
葬儀社との相談は、通常は喪主とその家族が行うことになります。
葬儀形式、日程、葬儀会場、宗教者の手配、祭壇、装具品、料理、返礼品の選定等、日常の生活とは縁のないことを決めなければなりません。不慣れなことばかりですから、どうしても葬儀社の指図を頼りにするようになりがちです。言われるままに「はい、はい」とやっているうちに、思いがけず高額な費用がかかる羽目に陥る危険もあります。
あらかじめ、故人が葬儀に関する希望を、家族あるいは葬儀社に伝えておくことができれば、遺族は非常に助かります。病気が重くなって死期が近いかもしれないと思われたら、遺体の搬送などをすぐ連絡できるように、葬儀社と下相談をしておいたり、事前に親族や友人に話す機会があれば、スムースに事を進めることができるはずです。
2.よい葬儀社・悪い葬儀社を見分けるポイント
葬儀社を選ぶ場合、以下のような点に気をつけて選ぶのがよいと思います。
・どのような葬儀をしたいのか、きちんと話を聴いてくれるか。
・最初から一方的に提案をせずに、選択肢を示してくれるか。
・事前に明細のはっきりした見積書を出し、詳しく説明してくれるか。
・セット料金に関しても、その明細(個々の単価)を明示してくれるか。
・質問にていねいに答えてくれるか。
・小さな葬儀を希望しても、ていねいに対応してくれるか。
・契約を急かしたり、強引な勧誘はないか。
・地元での評判はどうか。
・支払い期日に余裕があるか。
3.生協等でも葬祭事業を展開
近頃では、生協(生活協同組合)が全国的に葬祭事業を展開しています。「コープ・生協の安心お葬式」というテーマで、全国生協葬祭事業推進協議会が統括し、費用その他、消費者の目線を大切にした運営をめざしているそうです。首都圏では「コプセ葬」、神奈川県では「ゆきげ」などと、それぞれの地域でネーミングを考え、ホームページに費用を詳細に紹介するなど、消費者の立場から見て利用しやすい仕組みを工夫しているようです。その事業展開は全国的に広がっていますので、ネット等でお調べになってみてはいかがでしょう。
また最近では、大手スーパーなどの企業体がリーズナブルな葬儀のあり方を提供しようと葬祭事業に進出したりしています。それで従来からの葬儀社も、これに対抗してさまざまな工夫をこらしたプランなどを提供するようになってきたといわれています。