今回は、夫が死亡後、夫の家族と法的に縁を切る方法について見ていきます。本連載は、行政書士の廣末志野氏、特定社会保険労務士の田口乙代氏、税理士の佐伯茂樹氏の共著、『さあ大変!どうする?身内が亡くなったあとの始末』(北辰堂出版)の中から一部を抜粋し、身内の死亡時に何をすればいいのか、具体的な対応策をご紹介します。

配偶者家族との関係を終了させる「姻族関係終了届」

■亡夫・亡妻の家族と付き合いたくない場合の法的手続き

 

1.「姻族関係終了届」提出で一件落着

配偶者が亡くなると、婚姻解消の状態となりますが、亡くなった配偶者の血族との親族関係は、継続していることになります。

 

この姻族関係を終わらせたい場合は、「姻族関係終了届」を提出します。提出後は、配偶者の血族との親戚関係が終了するので、配偶者の父母や兄弟姉妹などへの扶養義務もなくなります。

 

なお、配偶者の遺産を相続した場合でも、返却する必要はなく、遺産を受け取ることができます。

 

 

※「姻族関係終了届」を提出しただけでは、氏や戸籍の変動はありません。もし婚姻前の氏にもどしたい場合は、次項の「復氏届」が必要になります。

夫の死後、名字を「旧姓」に戻すことも可能

2.復氏届(婚姻前の氏に戻したいとき)

婚姻の際、氏を改めた方が、配偶者が亡くなり、別の方と婚姻することで更に氏を改めている場合は、最初の婚姻のときの氏にもどるか、更に最初の婚姻を行う前の氏にもどるかを選択することができます。

 

(例)

・東京太郎さんと神奈川花子さんが夫の氏で婚姻し、花子さんは「東京」という氏に変更しました。

・その後、太郎さんが亡くなり、千葉次郎さんと夫の氏で婚姻することで、花子さんは「東京」から「千葉」という氏に変更。

・更に次郎さんが亡くなった場合、花子さんは現在の「千葉」という氏から「東京」にも「神奈川」にも復氏することができます。

 

このときいずれの氏に復する場合でも、届書中の「死亡した配偶者」欄に記載するのは、最後の配偶者である「千葉次郎」さんです。

 

「千葉」氏のまま過ごしたい場合は、この手続きは不要です。

 

本連載は、2016年10月15日刊行の書籍『さあ大変!どうする?身内が亡くなったあとの始末』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

さあ大変!どうする? 身内が亡くなったあとの始末

さあ大変!どうする? 身内が亡くなったあとの始末

廣末 志野,田口 乙代,佐伯 茂樹

北辰堂出版

身内の死に直面したとき残された人はどうしたらいいか……。葬儀から遺言、相続、遺品の整理まで、分かりやすくその道のプロが教える便利な本!! 高齢化時代、手元に置きたい一冊。 【目次】 第1章 突然のお別れ……やら…

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