株主の権利は大きく「3つ」
株主になるということは、ある特定の会社が発行する株を購入して会社のオーナーの1人になることです。その会社から見ると、経営に必要なお金を出資してくれている人が株主ということになります。
株式会社の始まりは、東インド会社にさかのぼります。1600年イギリス王政の最盛期、エリザベス一世によってアジア地域との貿易の特権を与えられたイギリスの東インド会社は、当時、一航海ごとに資金を集めて株を発行し、船が胡椒などを積んで帰国した後に利益を分配するという形態をとっていました。1602年、オランダの東インド会社は、一航海ごとではなく、継続的に資金集めと利益分配を行っていったので、これが実質的な株式会社の起源といわれます。
1600年といえば、日本では関ヶ原の戦いがあり、イギリスやオランダからの貿易商人が日本に来日しています。
そのころから世界では株式会社がスタートし、株という形式で、その成果をみんなに分配(share)できる資金調達方法が浸透していったのです。私たち人類の好奇心やビジネスの展開は、このような株式会社という形態で広くお金を集めることができたからこそ、広がっていったといっても過言ではないでしょう。ちょっとロマンを感じませんか?
今では、株を売買できる市場が整い、株主は、会社の経営に賛同して、途中から「乗るよ」と手をあげることもできるし、その後で「降りるよ」と判断することもできるわけですが、株主にとっての権利と義務というのは一体何でしょうか?
株主の権利は大きく3つあります。まず1つ目として、出資額(持株数)に応じて利益配分を受ける権利、つまり「利益配当請求権」があります。決算後の配当金はそれに当てはまりますし、株主優待券というのも、株主への分配の1つです。
なお、株主優待に積極的な会社は、個人の株主に対して商品やサービスなどをもっと知ってもらいたいと、個人向けのPRをかねているところも多く見られます。
株主への配当や株主優待の権利は、「権利確定日」に一定株数以上を持っている株主に対して、株主総会の決議を経て分配されます。なので、会社の決算日や決算の内容、株主総会も意識しておくことが必要です。
2つ目として、株主総会へ出席して経営に参加できる権利「経営参加権」があります。株主は一人ひとりが会社に資金を出すオーナーで、株主総会はその株主によって構成されます。
その会社の経営方針や役員などの選任、決算報告や剰余金の配当など、経営に重要なことを決める意思決定機関で、質疑応答が白熱することもありますが、原則として決議は多数決で行われます。
3つ目は、会社の清算時に会社の資産を分配して受け取る権利です。仮に会社が解散した場合、その会社の持っている資産は売却などによって、まず、お金を借りた債権者への返済に充てられ、その後、残っている財産があれば、株主は持ち株数に応じて分配を受けることができます。
こうした権利に対して、株主の義務および責任はたった1つ。「株の購入時に出す金額を上限とする出資の義務」です。つまり、株を購入するために資金を出したら、その額以上に追加で何かを求められる心配はありません。しかし、その出した額で手にした株の価値は、会社の株価の動きに応じて共に変動する、リスクを伴うという意味もあります。
日々変動する株価――会社はまさに生きている組織
こうしてみると、株主になるということは、その会社の経営と密接な関係になるということです。
配当や株主優待は、会社の方針や決算状況によっても変わってきます。また、途中で株を売る際は、逆にその株を買いたいという希望者がどのくらいいるかによって、価格が変わってきます。
買った時よりも人気が出て価格が上がっているならば、売ると利益が出ることになりますが、その逆の場合は、損失が出ることにもなります。会社はまさに生きている組織で、その価値が数字に表れる株価も日々変わっていくので、これらに慣れることが大事になってきます。
こうした株式投資は古くからあるものですが、私たちが実際に情報を集めたりする投資先としての株式会社はどんどん進化しています。
古くて新しい株式投資について、ここでは、杏奈さんの親友である智恵さんのお兄さん(大輔さん)が自分らしく取り組んでいる株式投資の考え方・捉え方を参考に、まったくの投資初心者の杏奈さんの素朴な疑問を一緒にクリアにしながら、あなたならではの、投資の醍醐味を見つけていただければと思います。