急死した68歳母が残したのは物が溢れた〈汚部屋〉だった…ゴミの山を前にして呆然とする42歳長女。さらに追い打ちをかける〈弟からの非情な一言〉に絶望したワケ【弁護士の助言】

急死した68歳母が残したのは物が溢れた〈汚部屋〉だった…ゴミの山を前にして呆然とする42歳長女。さらに追い打ちをかける〈弟からの非情な一言〉に絶望したワケ【弁護士の助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

遺言書を残さずに亡くなった場合、相続人たちはどのような困難に直面するのでしょうか。本記事では、遺言書がない相続で起こりうる悲劇と、それらを回避するための遺言作成の重要性について、具体的な事例を交えて三浦裕和弁護士が解説します。

弁護士からのアドバイス

由美さんは、聡子さんと一緒に居住し、仕事をしながら部屋の片づけを行い、遺産調査に尽力しましたが、最終的には自宅を失い、弟との絆も壊れてしまいました。

 

では、聡子さんがどのような遺言書を残していれば、由美さんは悲劇に巻き込まれずに済んだのでしょうか。

 

今回の件での大きな問題は、以下の3つがありました。

 

①由美さんに不動産を残すという遺言書を作成しなかった。

②聡子さんの預貯金がどこにあるかわからなかった。

③価値のあるものないものが汚部屋にあふれ、対処が難しかった。

 

①を解決するためには、「○○の不動産は、長女由美に相続させる」という内容の遺言書を作成する必要がありました。このような遺言書があれば、不動産の評価額が由美さんの法定相続分を超えていたとしても、誠さんに代償金を支払う必要はありませんでした。

 

②を解決するためには、遺言書に「◆◆銀行の口座(口座番号××)の預貯金は、長女由美と長男誠に2分の1ずつ相続させる」のように遺言書の本文に口座情報を記載する、又は別紙として財産一覧表を添付する必要性がありました。

 

③を解決するためには、「その余の財産は、長女由美に相続させる」という、包括的な文言の記載をする必要性がありました。このような記載があれば、由美さんは、汚部屋にあった色々な品を単独で取得することができましたので、自由に処分することができました。

 

遺言書がない場合、残された相続人は思わぬ悲劇に見舞われる可能性があります。遺言書の作成は、ご自身の意思を明確に伝え、相続手続きを円滑に進めるうえで必要不可欠です。

 

もっとも、作成する内容によっては、法的な専門知識が必要となりますので、弁護士等の専門家のサポートを得ることで、ご自身の意向が反映された遺言書を作成することができます。

 

 

三浦 裕和

 

弁護士

 

 

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