「姉さん、お母さんの介護お疲れ様。でも1,000万円は…」夫婦で実家に移り住んで〈99歳母親〉の介護を請け負ってきた70歳女性。2歳年下の妹からの厚顔無恥な要求に絶句したワケ【弁護士の助言】

「姉さん、お母さんの介護お疲れ様。でも1,000万円は…」夫婦で実家に移り住んで〈99歳母親〉の介護を請け負ってきた70歳女性。2歳年下の妹からの厚顔無恥な要求に絶句したワケ【弁護士の助言】

99歳で大往生した母の面倒をずっと見続けてきた姉…「遺言がないから」と何もしなかった妹と同額の遺産しか受け取ることができないのでしょうか。この場合「寄与分」を遺産分配に反映できる可能性があるといいます。本連載では寄せられたさまざまな相談事例から、気を付けるべきポイントについて弁護士・板橋晃平氏に解説していただきます。

第4 遺産の具体的な評価と分割案

里美さんの寄与分を考慮した遺産分割を検討します。以下は一例です。

 

1. 法定相続分の基本原則(民法第900条)

本件では、お母様の相続人は、里美さんとその妹さんの2名となり、各々の法定相続分は2分の1です。よって、遺産の分割は基本的に2等分が原則となります。

 

2. 不動産の評価

実家の不動産の時価が仮に400万円と評価された場合、総遺産は1,400万円(実家400万円+現金1,000万円)となります。

 

3. 遺産分割のシミュレーション

法定相続分では、里美さんと妹さんはそれぞれ700万円ずつになります。

 

しかし、里美さんの寄与分が例えば200万円と認められた場合、総遺産1,400万円から寄与分相当額200万円を除いた相続財産1,200万円を法定相続分2分の1ずつで分け合うので、最終的には里美さんは寄与分を加えた800万円相当の遺産を、妹さんは600万円相当の遺産を取得することができます。

 

もっとも、すぐ現金に換価することができない実家の建物敷地をどのような形で遺産分割するかによって、具体的な遺産分割方法が異なってきます。

 

第5 まとめ

遺産分割は法的な問題と感情的な問題が交錯するため、冷静な判断が求められます。法的な根拠に基づいた解決策を提案しつつ、家族間の感情や関係にも配慮したアプローチを取ることが重要です。

 

特に寄与分の評価は難しく、争われやすい論点でもあります。適切な法的手続きを通じて、双方が納得できる解決策を見つけるためには、専門家の助けを借りることが有効です。

 

 

板橋 晃平

 

弁護士

 

 

新版 いますぐ妻を社長にしなさい

新版 いますぐ妻を社長にしなさい

坂下 仁

フォレスト出版

メガバンクの銀行員時代、株で失敗して破産寸前まで追い詰められた著者が、5年で借金を返済して数億円の資産を築いた秘策を記した10万部のベストセラー『いますぐ妻を社長にしなさい』(初版は2014年刊行)。 この新版では…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧