世帯主の収入「38万8,979円」…豊かに生きられるか
少子高齢化が長らく問題視されている日本社会。出生数は右肩下がりに減少し、平成28年以降は100万人を下回って推移しています。厚労省の発表によると、2023年の出生数は過去最少の72万7,288人。しかし2024年の出生数はそれをさらに下回り、70万人を割る見通しとなっています。
DINKs(Double Income No Kids…共働きで意図的に子どもを作らない夫婦のこと)という言葉も広く知られるようになった今、「夫婦2人で生きる」は当然の選択肢として存在しています。一方で、意図とは関係なく「お金がなくて子どもは考えられない…」と嘆く声も少なくありません。
総務省『家計調査(二人以上の世帯)2024年(令和6年)8月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「57万4,334円」。一方、消費支出の平均は「29万7,487円」です。
勤労者世帯の収入について詳しく見ていきましょう。「57万4,334円」のうち、世帯主の収入が「38万8,979円」、配偶者の収入が「9万1,159円」となっています(そのほか定期収入や他の世帯員収入についての項もありますが、ここでは割愛します)。
消費支出の内訳を見てみると、食費が「9万6,744円」ともっとも大きなウエイトを占めており、交通・通信費が「3万6,425円」、教育娯楽が「3万2,565円」、光熱・水道が「2万888円」と続きます。仕送り金や交際費といった「その他の消費支出」は「4万8,047円」です。
57万円の収入に、29万円の支出。この数字だけで言えば、月28万円程度は自由に使えるお金があるわけですが、現実はそう簡単ではありません。
『民間給与実態統計調査』(国税庁・令和5年)を見ると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均額は460万円(男性569万円、女性316万円)です。1人当たりの平均給与を年齢階層別にみると、男性では60歳未満までは年齢が高くなるにしたがい平均給与も高くなり、55~59歳の階層が最も高い給与を受け取る傾向にあります。
しかしこれはあくまで平均値。年収の分布を見ていくと、残酷な様相が明らかになります。