自民党が歩み寄る国民民主党の公約の発想は現実的かつ、健全な経済政策
国民民主党は「手取りを増やす」というわかりやすいスローガンが有権者に受けて、議席を大きく伸ばした。同党の公約には消費税の引き下げなど減税が並べられている。しかし、これはただの「ばらまき」ではない。考えてみればわかるが、消費税を下げても手取りが増えるわけではない。手取りを増やすには所得税減税、控除の拡大、社会保険料の軽減だ。もちろん、国民民主党の公約にはこれらのメニューも並べられている。しかし、真っ先に消費税引き下げがきているのはなぜか。それは国民の消費を活性化させるためだ。
玉木代表はこう語っている「この春の賃上げを非正規雇用や中小企業にも広げ、持続的なものにするためには、手取りを増やして消費を拡大し、売上を増やすことでさらなる賃上げにつなげるという好循環が何より重要です」。
減税ーー政府から還付されるのを待つ姿勢ではなく、消費を拡大して景気をよくして、それで企業の収益を拡大して賃上げにつなげるという絵を描いている。これは、いってみればアベノミクスが掲げたトリクルダウンに近い発想だ。
強調こそしないが、このシナリオがワークする大前提は、「企業が儲かる」ということだ。景気がよくなって企業が利益をあげて、はじめて賃上げが確かなものになる。この発想は、とても現実的だし、日本経済にとって非常に健全な経済政策だ。
これで株が上がらぬはずがない。株式市場の理解は常に正しいとは限らないが、今回はとても正鵠を射抜いたリアクションだったと思う。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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