公的年金の受給権者が逝去…必要な手続きと提出書類
年金受給者であるご両親が亡くなった場合、年金の支給が続いてしまう可能性があるため、「受給権者死亡届」を市区町村役場か年金事務所へ提出して、年金の支給を止める必要があります。
ただし、日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は原則として届け出をする必要はありません。
受給権者死亡届は日本年金機構のWEBサイトからダウンロードすることができます。
■受給者死亡届の扱いは国民年金と厚生年金で異なる
受給者死亡届の提出期限と提出場所は国民年金か厚生年金で異なります。
国民年金の場合、亡くなった日から14日以内にお住いの市区町村役場へ提出する必要があります。
厚生年金の場合、亡くなった日から10日以内にお住いの地域の年金事務所へ提出する必要があります。
また受給権者死亡届以外に以下の書類の提出が必要です。
・亡くなった人の年金証書
・亡くなった事実のわかる書類
(住民票の除票、戸籍抄本、死亡診断書のうちいずれか1つ)
亡くなった時点で発生する未支給の年金が存在
年金をもらっていた人が亡くなったあと、支給されていない年金が発生します。この未支給年金の計算方法の算出方法を見ていきましょう。
■年金は亡くなった月の分まで受け取ることができる
公的年金は年6回後払いで支払われています。具体的には、偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)にその前月までの2ヵ月分の年金が支払われます。
たとえば、4月15日には2月と3月の2ヵ月分の年金が支払われます。
年金は日割り計算を行わず、亡くなった月の分まで受け取ることができます。そのため、亡くなった時点ではまだ受け取っていない年金が発生するのです。これを未支給年金といいます。
未支給年金の算出方法は亡くなったタイミングによって以下の3パターンにわけられます。
【奇数月に亡くなった場合】
年金支給月ではない奇数月に相続が発生した場合の算出方法は簡単です。
年金は亡くなった月の分まで支給されるので、亡くなった月と前の月の2ヵ月分の年金が翌月に支給されます。
仮に9月に亡くなった場合、10月15日に8月と9月の2ヵ月分の年金が支給されます。この分が相続発生日にまだ支払われていない未支給年金になります。
【偶数月の年金支給日前に亡くなった場合】
偶数月に亡くなった場合は奇数月に比べてややこしいので注意が必要です。
15日より前に相続が発生した場合、その月支給されるはずの2ヵ月分の年金はまだ受け取れていません。従って3ヵ月分が未支給年金になります
【偶数月の年金支給日後に亡くなった場合】
15日よりあとに相続が発生した場合、受け取れていない未支給年金は亡くなった月の分、1ヵ月分です。
未支給年金の計算方法は亡くなったタイミングによって上記の3パターンに分けられます。
未支給年金を受け取る際の「注意点」
未支給年金は亡くなったあとも年金が振り込まれていた口座に自動的に振り込まれるわけではありません。
未支給年金を受け取る権利を持つ相続人が「未支給年金・未支給給付金請求書」に必要事項を記入して提出する必要があります。
未支給年金・未支給給付金請求書はWEBサイトからダウンロードすることができます。
■未支給年金を請求できるのは、亡くなった人と一緒に暮らしていた相続人だけ
未支給年金を受け取ることができる相続人は、亡くなった人と一緒に暮らしていたご遺族に限られます。
また、相続放棄を行っていた場合でも受け取ることができます。
■未支給年金は指定した銀行口座に振り込まれるが…
未支給年金・未払い請求書にはマイナンバー、基礎年金番号、年金コードなどを記入する必要があります。
その際、受取人の銀行口座を記入し、指定した口座に振り込んでもらいます。
ただし、亡くなった人が年金を受け取っていた銀行口座を解約していない場合、以前の口座に振り込まれてしまうことがあるので注意が必要です。
未支給年金に相続税はかからないが“確定申告”が必要なことも
受け取った未支給年金に相続税はかかりません。これは未支給年金が相続財産ではないためです。
ただし、未支給年金を受け取ることで「年金の年間受給額400万円」を超えてしまった場合、確定申告が必要になってきますので頭に入れておきましょう。
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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