“大接戦”の米大統領選、為替市場への影響は?…2025年前半までが「外貨の仕入れ時」といえるワケ【投資のプロが解説】

“大接戦”の米大統領選、為替市場への影響は?…2025年前半までが「外貨の仕入れ時」といえるワケ【投資のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米ドル/円は円安から円高に振れるなど、為替や先行きに不透明感が増す株式市場。大統領選挙を控える米国の景気は、利下げによってどう変化するのでしょうか。今後、注目すべきポイントについて、アライアンス・バーンスタイン株式会社の運用戦略部長 兼 ポートフォリオ戦略室長である荒磯亘氏が解説します。

米ドルの買い場は「時期」が重要

――米国の景気がいいと、それほど円高は進みにくいということですね。では、具体的にどのあたりの水準になれば、米ドルの買い場といえるでしょうか?

 

荒磯「水準よりも、時期のほうが大事であると私は考えています。いまのドル円には2つの重要なファクターがあります。1つは中東情勢です。市場は地政学的リスクにすっかり鈍感になり、あまり反応していません。ただ、戦火が拡大すると原油価格に跳ね返る可能性があるということで、インフレの再燃によって米国が利下げできなくなるリスクオフの可能性に注視する必要があるでしょう。

 

もう1つは、物価上昇ペースが鈍化する“ディスインフレーション”が一巡してしまう可能性です。[図表5]を見ると、2024年の夏頃から前年比で原油価格が下がっていることがわかります。

 

ただ、この価格の低下は、2025年の夏以降、モノの価格を上昇させる要因にもなるため、米国の利下げは、2025年後半に物価上昇という不確定要因をはらんでしまうかもしれません。

 

いわゆる円の買い戻しや金利差の縮小が見込める時期は2025年の前半くらいまでとなり、外貨の仕入れ時も同じころまでというのが、1つのメドだと考えています。

 

過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。 原油価格はNYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)上場のWTI原油先物価格を使用。 2024年9月末時点。 出所:ニューヨークマーカンタイル取引所、ブルームバーグ、AB
[図表5]2023年、2024年の原油価格推移(左軸)と、2024年価格の前年比(右軸) 過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。予想は今後変更される可能性があります。
原油価格はNYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)上場のWTI原油先物価格を使用。
2024年9月末時点。
出所:ニューヨークマーカンタイル取引所、ブルームバーグ、AB

 

 

 

まとめ

――米国で利下げが始まりました。 米国のハードランディング懸念は行き過ぎで、利下げは今後もゆっくりと進みそうです。2024年11月の米国大統領選挙後は株高、米金利上昇、米ドル高へ向かう流れを予想します。

 

また、2024年8月以降は日米金利差の縮小が円高を演出しましたが、金利差を材料に円高へ振れやすいのは2025年前半までで、そこまでは外貨を仕入れるチャンスが生まれやすいでしょう。

 

【AB’s Market Tips】「いよいよ来た米利下げと大統領選。市場はどう変わる?」
               ↓全編動画はコチラ↓

 

 

 

荒磯 亘

アライアンス・バーンスタイン株式会社 執行役員

運用戦略部長(債券担当)/ポートフォリオ戦略室長/シニア・インベストメント・ストラテジスト

 

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【ご注意】
※本稿は、「【AB’s Market Tips】#14 いよいよ来た米利下げと大統領選。市場はどう変わる?」を参考に、再編集したものです。詳細については当該動画をご覧ください。
本文中の見解はリサーチ、投資助言、売買推奨ではなく、必ずしもアライアンス・バーンスタインポートフォリオ運用チームの見解とは限りません。本文中で言及した資産クラスに関する過去の実績や分析は将来の成果等を示唆・保証するものではありません。
当資料は、2024年10月22日現在の情報等を基にアライアンス・バーンスタイン株式会社が編集した資料であり、いかなる場合も当資料に記載されている情報は、投資助言としてみなされません。当資料は信用できると判断した情報をもとに作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に掲載されている予測、見通し、見解のいずれも実現される保証はありません。また当資料の記載内容、データ等は作成時点のものであり、今後予告なしに変更することがあります。当資料で使用している指数等に係る著作権等の知的財産権、その他一切の権利は、当該指数等の開発元または公表元に帰属します。当資料中の個別の銘柄・企業については、あくまで説明のための例示であり、いかなる個別銘柄の売買等を推奨するものではありません。

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