「解雇規制緩和」で経営者は喜ぶべきか?「ダメな社員」を手放しやすくなるチャンスかと思いきや…企業側が直面する“まさかの落とし穴”

「解雇規制緩和」で経営者は喜ぶべきか?「ダメな社員」を手放しやすくなるチャンスかと思いきや…企業側が直面する“まさかの落とし穴”
(※写真はイメージです/PIXTA)

自民党総裁選の際、何人かの議員が「解雇規制の緩和」に言及し、突然の議論に驚く声も多かったことでしょう。しかし、その背景には、2019年に経団連の中西宏明会長やトヨタの豊田章男社長が「終身雇用の維持は難しい」と発言したことがあり、実はその時から変革の兆しは見えていました。現在、解雇規制の緩和が真剣に検討される中で、経済界は新たな働き方に向けて動き出しています。本稿では、社員50名の新聞販売店を23年間経営し、多くの企業を支援してきた米澤晋也氏が、解雇規制緩和がもたらす日本の労働環境の変化について考察し、労働者がこの変化を乗り越えるために必要なスキルや、企業が講じるべき対策を探ります。

【事例】本業+副業で広がる“人脈とスキルの融合”

そんなキャリアを邁進している事例として、社員数700名ほどのIT企業に勤務する飯塚洋平氏(47歳)を紹介しましょう。

 

私が飯塚氏と出会ったきっかけは、2017年に私が主催する「自律型組織の構築セミナー」に、彼が自腹を切って受講してくれたことでした。

 

彼のSNSを見ると、「サイボウズ社が提供する業務構築システム『kintone』の勉強会」「企業の経営支援の顧問」「大学講師」「チームビルディングやビジョンデザインの研修講師」など、副業を含む様々な社外活動を行っており驚かされました。

 

交友関係も、学生、経営者、自社以外の会社員、アスリート、大学教授、霞が関の官僚と多彩です。

 

このように書くと、特別な人間と思われるかもしれませんが、私は、誰もが彼のようになれる可能性を秘めていると考えています。

 

その理由は、彼の行動原理は「とにかく人に会いに行く」というシンプルなものだからです。会いに行った人が、次に会うべき人を紹介してくれ、濃厚な人脈が形成されていったのです。

 

飯塚氏のコア・コンピタンスは、自律型組織の知見を活かしたチームビルディングやプロジェクトマネジメントのスキルと、それを現場で支援するシステム構築のスキルです。それを軸足に起き、様々な人と交流するうちに知恵の融合が起き、上記のような豊富な事業アイデアが生まれるのです。

 

商品は自分自身、「飯塚洋平」なので、その販促ツールも作成しています。

 


こうした横断活動ができるのは、とりも直さず「業界を超えて活用できるスキル」を持っているからです。

 

同時に、彼にここまで副業が認められているのは、副業で習得した経験とスキルを社内に還元しているからです。例えば、後輩の個別指導や、社内プロジェクトチームのファシリテーターを積極的に買って出て、非常に成果をあげています。

 

また、最近では、キャリア形成に悩み転職を考え出した社員に対し、転職をしなくても魅力ある働き方ができるお手本として、上司が飯塚氏を紹介し、面談をするケースが増えているそうです。

 

彼には、組織の階層を登ること=キャリアアップという発想はありません。しかし、副業での収入がそれをカバーしているどころか、彼よりも階層が2つ上の上司よりも高い年収を得ています。

 

本業からのベーシックな収入を軸に「キャリアのポートフォリオ」を形成する飯塚氏のような働き方は、解雇規制緩和の時代を生きる人にとって、深い洞察を与えてくれるのではないでしょうか。

 

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