(※写真はイメージです/PIXTA)

大企業で勤め上げ、年収は1,000万円以上。そんな元エリートサラリーマンのなかには「年金を月30万円以上もらっている」という羨ましい人もいます。退職金も数千万円をポンともらっている世代なので、悠々自適の老後を暮らしているはずですが……? 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」などと共にみていきましょう。

プライドを捨て「生活レベルを落とすこと」は難しい

ここで、悪いケースを考えてみましょう。妻が認知症などで要介護となり、老人ホームに入る必要性が出てくると、入居一時金や月々の利用料で、かなりの金額が持っていかれます。老後資産に余裕があればまだいいですが、引退時に多額の退職金を手にしたことで、知識なしに言われるがままに「資産運用」に手を出して失敗してしまう人も多いのです。

 

「それでも年金が月30万円も入ってくる」と考えるかもしれませんが(ちなみに年金30万円と言っても、社会保険料などを引くと受取額はもう少し小さくなります)、すぐに入所できる有料老人ホームは高額なことも多く、高品質なプランを選択すると月額およそ20万円ほどもかかることがあります。

 

手元に残った額で、家事をしてくれた妻もおらず、エリートサラリーマンとして暮らしていたときのような生活を目指すと、破綻すらも見えてきます。

 

高齢になると、いろいろなことができなくなってくるものですが、意外と難しいのが「生活レベルを落とすこと」と「それまでのプライドをなくすこと」です。とくに元エリートサラリーマンはここが苦手なことが多く、危機的な状況に陥っていても、積み上げてきたものにすがってしまう傾向があります。

「現役世代の老後」はさらに険しい…?

上記のような年金受給世代の「プライドが捨てられず、破綻」ケースは、わかっていても避けることが難しく、なかなか厳しいものがありますが、現役世代が迎える年金生活はさらに険しいものがあります。

 

前述の通り、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金で14万4,982円でした。標準報酬月額の平均は32万1,000円とありましたが、実際、どのようなレベルの人なのでしょうか。

 

厚生労働省の運営するホームページ『いっしょに検証!公的年金』のQ&Aでは、「おおよその年金額を知りたいときはどうしたらいいんだ?」という質問に対して、下記のようなケースで回答しています。

 

“厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.6万円(令和2年度)になります。”

 

40年間加入、その期間の平均収入が月43.9万円というのは、かなり順調に収入があるケースではないでしょうか。それでも月額約15万6,000円となります。前述の平均年金月額14万4,982円より、月1万円ほど高いケースです。元エリートサラリーマンの場合と違い、夫婦共働きで同程度の収入を得ていたとすると、ふたりで年金は月約30万円ほど給付されます。

 

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