「労働意欲のある"高齢者”」と「労働力不足に悩む"企業”」
これまでは、西田さんのように年齢を活かして仕事をすることは、俳優や文筆家など芸術分野で大成している人や、著名な経営者や研究者など一部の人のみと考えられてきました。
しかし、昨今は労働意欲のある高齢者が増える一方、少子高齢化により労働力不足に悩む企業が増加。経験値や非認知能力が高く、即戦力となる人材が求められています。年齢を問わず個人の能力が発揮できる機会が増えました。
政府は年齢や性別に関係なく、誰しもが職場や家庭などで生きがいをもち充実した生活を送る「一億総活躍社会」を推進。その一環として「意欲のある高齢者が年齢にかかわりな く働き続けることのできる生涯現役社会の構築が必要(抜粋元|厚生労働省)」という方針を掲げています。
具体的に、初期高齢者となる65歳以降のシニア人材について「(所属企業の)継続雇用」と「再就職支援」を両輪とし、助成。下記【図表2】、31人以上規模の企業を対象にした政府調査を見てみましょう。
平成21年に216万人だった60 歳以上の常用労働者の数は、令和4年には442万人と急増。13年間で105%増、約2倍以上に推移しています。
(参考:令和4年 高年齢者雇用状況|厚生労働省)
15年後には高齢者の15%、6~7人に1人が認知症に
働くシニアが注目される一方、高齢認知症患者の増加が深刻な社会課題となっています。認知症は要介護の原因として最も多く、健康寿命に大きく影響します。
厚生労働省の研究結果では「認知症の高齢者の数は2025年に472万人、2040年に584万人に増加」と推計されています。すなわち、15年後には高齢者の15%、6~7人に1人が認知症になると予測されています。背景には2040年に団塊ジュニア世代全員が、65歳以上の初期高齢者となり高齢者人口の大幅な上昇があります。
2021年のドラマ『俺の家の話』(TBS系)で西田敏行さんは、認知症が進行する「能楽」保持者の人間国宝・観山寿三郎を演じています。第8話では、家族が在宅介護をつづけることが困難となり、認知症対応型のグループホームに入所するシーンが描かれています。
(参考:認知症有病率の全国調査|厚生労働省、国立大学法人 九州大学)