(※写真はイメージです/PIXTA)

2024年10月27日は第50回衆議院議員総選挙です。日本は有権者の年齢分布は高齢者に偏っていますが、若者のなかには「意見が通りにくい」と考え、投票に積極的な気持ちを持てない人もいるようです。しかし、仮に白紙投票だとしても、若者が投票すること自体に大きな意味があるといえます。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

若者が投票に行くようになれば、政治家たちは…

筆者は道徳の先生ではないので、「選挙で投票するのは国民の義務だから、みなさん投票しましょう」などとはいいません。定年まで経済の先生であった筆者は、若者に向かって「選挙に行かないと皆さんが損するから選挙に行きましょう」といっているのです。

 

若者は選挙に行かない人が多いようです。高齢者ほど時間に余裕がないし、若者は政治に無関心な人も多いからでしょう。しかし、それは危険なことです。シルバー民主主義を促進してしまうからです。

 

高齢者は、そもそも有権者の人数が多いですし、時間に余裕があるので投票率も高いので、政治家にとっては「高齢者を怒らせるような政策を採ると次の選挙で落ちるかもしれない」という意味で大事な存在です。

 

一方で、若者は、そもそも有権者数が少ないうえに、投票率が低いので、政治家からすると「若者を怒らせても次の選挙で落選するリスクは小さい」という意味で、大事ではない存在です。そうなると、「若者のための予算を削って高齢者のための予算を増やそう」と考えるのが自然ですね。それが「シルバー民主主義」です。

 

若者が投票に行くようになれば、政治家たちが「若者を怒らせると次の選挙で落選してしまうかもしれないから、若者のための予算を削るのはやめよう」と思うようになるでしょう。それが、若者が選挙に行くべき理由なのです。

 

少子高齢化ですから、選挙のたびに高齢の有権者は増え、若い有権者は減って行きます。そんなときに若者の投票率が上がらなかったら、政治家は一層高齢者寄りの政策ばかり採用してしまうでしょう。それで困るのは、投票に行かなかった若者なのです。

白紙投票でも、投票に行かないよりはマシ

「自分は政治のことは詳しくないから、だれに投票したらいいかわからない」という若者も多いでしょう。しかし、それでも投票することに意味があります。なんとなくいまの政治で満足している人は与党(自民党か公明党)に、なんとなくいまの政治に不満がある人は野党(それ以外)に投票する、ということでよいと思います。

 

もう少し真面目に考えたい人は、10分でいいので各政党の公約を見比べてみましょう。どれも似たように見えるかもしれませんが、そのなかで気に入ったものを選んで、その政党に投票すればよいのです。もっとも、選挙区によっては立候補者が少なくて、気に入った政党の人が立候補していない可能性もありますから、先に立候補者の政党を確認すると無駄がないでしょう。

 

反対に、政治に関心がなく、いまの政治がなにをしているのか知らず、いまの政治に満足しているか満足していないかわからない人もいるでしょうが、そういう人も投票に行きましょう。10分だけ公約を見るのも面倒であれば、最悪白紙で投票しても、投票に行かないよりはマシです。政治家には、だれが白紙投票したかわからないので、「最近は若者も選挙で投票するようになった」ということしかわかりませんから。

 

真面目な人は、「自分のように政治を知らない人間が選挙で投票するのは失礼だ」などと考えるかもしれませんが、そんなことはありません。大人だって「だれかに頼まれたから投票した」「お祭りに参加してくれて、握手もしてくれたから投票した」という程度の人は多いのですから。

選挙の結果より「投票した事実」が重要

有権者は何万人もいるのだから、自分が投票しても、それで選挙結果が変わることはあり得ないでしょう。過去の選挙を見ても、1票差で当落が決まった例は非常に稀でしょうから。さらにいえば、与党支持者と野党支持者が相談して2人で棄権すれば、政権交代の可能性は変化しないので、問題ないようにも思えます。しかし、上記のように、そういうものではないのです。

 

実は、筆者も若い頃、失敗をしたことがあります。与党支持者2人と野党支持者2人で、終日マージャンを楽しんでいたのです。相手が投票に行かないことを確認し合っていたわけですね(笑)。

 

その結果、当然ながら選挙の結果には4人とも投票した場合と4人とも棄権した場合で差が出なかったので、当日は4人とも満足していました。ところが、いまになって考えれば、若者が4人も棄権したので、当時の政治家は「やはり若者の投票率は低いから、高齢者向けの政策を推進しよう」と考える動機を与えてしまったわけですね。

 

というわけで、若者にはぜひ選挙に行くように勧めるのが本稿の目的です。筆者はすでに高齢者なので、本来はシルバー民主主義大歓迎なのですが、長い間若者の教育に携わってきたので、つい若者のためになることをしてしまう悪い癖が出てしまったわけですね(笑)。

 

今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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