24年訪日外客数は、1~9月累計で早くも前年を上回る
24年9月推計値の訪日外客数は287.2万人で、前年同月比は+31.5%の増加になりました。コロナ禍前の19年比では+26.4%の増加です。単月の訪日外客数は、12ヵ月連続でコロナ前の水準を上回っています。
24年1~9月の累計は2,688.0万人と、23年年間の2,506.6万人をすでに上回り、24年の訪日外客数は前年比増加になることが早くも決まりました。また、過去最高だった19年の3,188.2万人に、24年1~9月の累計の19年同期比+10.1%の伸び率を掛けると、3,510.2万人となります。24年はこれまでのペースだと過去最高の3,500万人台になる可能性があります。
24年訪日外客数の「前年同月比推移」でみると、2月以降勢いは弱まる
ただし、24年訪日外客数・前年同月比の推移をみると、24年はうるう年ということもあってか、1月の+79.5%ではなく2月が+89.0%で最高でした。しかし、その後は鈍化傾向で前年同月比2ケタ増加ではあるものの、9月は+31.5%になりました。
景気ウォッチャー調査の「外国人orインバウンド」関連現状判断DI、先行き判断DIの動きと同じで、悪くはないが勢いは弱くなってきた感じがします。
9月「外国人orインバウンド」関連現状判断DIでみても、勢いはやや弱まる
9月の「外国人orインバウンド」関連の現状判断DIは52.5と2ヵ月連続60を割り込みましたが、現状判断DIは22年5月から景気判断の分岐点50超が維持されています。
一方、先行き判断で「外国人orインバウンド」関連DIは、22年4月の46.9以来18ヵ月ぶりの50割れになった23年10月49.9から上昇に転じ、24年3月は23年7月69.8以来の水準である67.6まで改善しました。4月以降は60割れとなったものの、9月54.1まで50台での推移となっています。
なお、「外国人orインバウンド」関連のコメント数は、新型コロナウイルスが流行し、外国人の入国が規制されていた時期は極めて少ない状況でした。「外国人orインバウンド」関連の現状判断コメント数は、21年9月・10月は1名だけ。23年6月から11月の6カ月は70名台・80名台の高水準でした。12月は65名と5月以来7ヵ月ぶりに60名台に低下したものの、24年に入ると、1月81名、2月101名、3月96名、4月113名まで増加しました。しかし、その後はおおむね減少傾向で、5月92名、6月89名、7月77名、8月78名、9月69名と推移しています。
24年7~9月期のインバウンド旅行消費額は7~9月期としては過去最高の「1兆9,480億円」
24年7~9月期のインバウンド消費動向調査(1次速報)によると、旅行消費額は1兆9,480億円で、7~9月期としては過去最高となりました。前年同期比は+41.1%の増加、19年同期比では+64.8%増加です。ただし、24年7~9月期は4~6月期の2兆1,402億円よりは低下しています。
24年1~9月期の訪日外国人旅行消費額は累計で5兆8,582億円となりました。23年年間の訪日外国人旅行消費額5兆3,065億円をすでに上回りました。また、7~9月期の訪日外国人1人当たりの旅行支出は22万3,000円と推計されています。
猛暑や大雨が9月の旅行・レジャー悪化の要因のひとつに
旅行・交通関連やレジャー施設関連を含む9月「景気ウォッチャー調査」でサービス関連のDIは、“方向性”を尋ねた現状判断では48.1と前月差▲3.5ポイント悪化したものの、“水準”を尋ねた現状水準判断では51.6で前月差+0.6ポイント改善となりました。
これが、9月「景気ウォッチャー調査」で全体の現状判断DIが8月から悪化する一方、現状水準判断DIが8月から改善と、2つの現状判断のDIが逆方向に動いた主な要因です。9月は猛暑や大雨といった天候による旅行・レジャーの悪化が目立ちました。
西日本が特に暑かった24年…猛暑日が出た8月・9月の姫路城入場者数は2ヵ月連続前年同月比減少
外国人観光客も多く訪れる観光名所である、9月の函館・五稜郭タワーの入場者は前年同月比+32.8%と好調でしたが、猛暑の中で9月の姫路城の入場者は前年同月比▲1.7%と2ヵ月連続マイナスになりました(10月21日現在)。
24年の函館の最高気温35℃以上の猛暑日はゼロですが、姫路の猛暑日は26日で、平年を20日ほど上回りました。8月が20日、9月が2日でした。今年は西日本の気温が高かったといえます。
なお、24年夏で特に暑かったのが、福岡県太宰府市でした。太宰府市では猛暑日が24年7月19日~8月27日で「連続」40日、また24年の猛暑日は62日と、どちらも全国での最多記録を更新しました。
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。
宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)
三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。
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