AMROが指摘した「フィリピン経済の泣き所」
ASEAN+3マクロ経済研究所(AMRO)の最新の報告書では、フィリピンが先進国市場の経済ショックに対して特に脆弱であることが強調されています。
この報告書は、フィリピンを含むASEAN+3地域の金融機関や市場がますます相互に関連し合っており、グローバルな要因からの影響を受けやすくなっていると分析しているものです。フィリピンの金融市場においては、特に米国、英国、ヨーロッパの株式市場からのショックに敏感であり、これが地域の金融システム全体に波及する可能性があると警告しています。
フィリピン経済はサービス主導の構造を持ちながら、過去数年はCOVID-19パンデミックによる大きな衝撃からの回復力を示してきました。しかし、インフラの不足が経済成長の足かせとなっており、再生可能エネルギーやビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、観光などの分野への投資を最大限に活用することが求められています。
また、AMROはASEAN+3地域がアメリカドルに強く依存している点を指摘し、これが資金調達のリスクやショックを引き起こす可能性があると警告しています。
米国の金利政策や地政学的な緊張は、ASEAN+3諸国に対して直接的な影響を及ぼす要因であり、特に、米国の金利が上昇する局面では、資金流入が減少し、これが地域経済に負の影響をもたらします。
不動産セクターに関しても注意が必要です。需要の低下や厳しい金融条件が開発業者の財務状態に悪影響を及ぼしており、フィリピンを含むいくつかのASEAN諸国では在庫過剰やプロジェクトの遅延といった問題が発生しています。これにより、金融機関の健全性が損なわれる恐れがあるのです。
現在の経済成長とインフレ緩和の流れを活用し、債務の削減や政策の再構築を行うこと、さらには外国為替準備金を補充し、資本流入がある時期に市場の信頼を高めることが重要とされています。
AMROは、この先、短期的にはインフレの再発、地政学的緊張の高まり、グローバルな成長の鈍化といったリスクに警戒し続ける必要があるとしています。地域の経済が相互に影響し合うなかで、国際的な波及効果を監視し、ASEAN+3に特化した監視や協力を強化することが求められています。