フィリピン商工会議所〈50周年ビジネスカンファ〉で語られた経済界から政府への「6つの提言」

10月28日週「最新・フィリピン」ニュース

フィリピン商工会議所〈50周年ビジネスカンファ〉で語られた経済界から政府への「6つの提言」
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏が、フィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はィリピン商工会議所がその設立50周年に合わせてまとめた政府への提言について解説していきます。

投資環境の改善と持続可能な経済成長への道

10/22、10/23の2日間に渡り、マニラ国際空港近くにある複合開発地区リゾートワールド内にあるマリオットホテルで、フィリピン商工会議所(PCCI)設立50周年ビジネスカンファレンスが開催されました。予定されていたマルコス大統領のスピーチは、大型台風の到来による被災地へ大統領が行くことになり中止となりましたが、前大統領の娘で副大統領のサラ・ドテルテ氏の講演は、初日に実施されました。今般このPCCI設立50周年のタイミングに合わせて、実業界から政府への提言が発表されましたので、その内容についてみていきます。

 

フィリピン商工会議所(PCCI)は、フィリピン政府に対し、ビジネス運営の障壁を特定し、インフラ整備のマスタープランを策定すること、包括的な投資法案を成立させること、地方自治体サービスのデジタル化を進めることを提言しました。これにより、フィリピンにおける投資を促進し、雇用の創出が期待されます。

投資や雇用創出に適した環境づくりのための提言

この提言は、PCCIが政府に提出した11ページにわたる行動計画書に記載されており、首都圏パサイ市で開催された第50回フィリピンビジネスカンファレンス&エキスポの最終日に発表されたものです。PCCIは、国内のビジネス環境を改善し、インフラ、交通、物流の支援を強化することで、投資や雇用の創出に適した環境を作り出すことが重要と強調しています。

 

提言①コンサルティングボディの設立

PCCIは、マルコス政権に対して、ビジネスにおける障壁を特定し、行政機関間の重複や対立する規制を解消するために、民間セクターのリーダーと政策立案者で構成されるコンサルティングボディを設立するよう求めています。フィリピン港湾局(PPA)とラグナ湖開発庁(LLDA)の機能が対立していることがその一例として挙げられています。

 

さらに、PCCIは「包括的な投資法案」の成立を提案しており、輸出志向および国内志向の企業に対するインセンティブを明確にし、これらのインセンティブの遵守と効果を監視するためのタスクフォースを設置するよう求めています。特に求めているのは、再生可能エネルギー(RE)および廃棄物管理プロジェクトに対する税制優遇措置や助成金の提供です。

提言②長期インフラマスタープランとデジタルガバナンスの推進

PCCIは、交通、エネルギー、通信ネットワークに関する長期的なインフラマスタープランの策定を提案し、特に農場から市場への道路や主要な交通ハブへの投資を優先することで、地域間の物資の移動を円滑にするべきだと強調しています。

 

さらに、地方自治体向けに技術支援やツールを提供し、トレーニングプログラムを実施する「デジタルガバナンス・イニシアティブ」の創設を提案しています。これは、ビジネスプロセスをデジタルプラットフォームで合理化するための国家タスクフォースの設立を目指しています。

提言③食料安全保障の確保と農業の強化

PCCIは、農業生産を増加させ、市場へのアクセスを向上させることで、フィリピンの食料安全保障を強化する必要があると提言しています。このため、科学技術省(DOST)、農業省(DA)、農業専門家、技術企業の代表で構成される「技術タスクフォース」を設立し、気候管理システムや精密農業ツール、気候に強い作物品種、リアルタイムで条件を監視するためのIoTソリューションなどの最新農業技術を特定し導入することを求めています。

 

また、PCCIは、ココナッツ、豚肉、養殖業界の復興戦略を具体的に策定し、疾病管理対策や新技術に対する財政支援プログラムを開発するよう提言しています。さらに、農業協同組合への予算支援を強化し、最新の倉庫、配送センター、コールドチェーン施設への投資を提言しています。

 

PCCIは、農地改革法の変更も求めており、土地保有の上限を5ヘクタールから24ヘクタールに引き上げ、農業用地所有の上限を撤廃することを提案しています。この提言は、昨年の政策提言でも言及されたものです。

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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