ユニクロに1年間にわたって潜入取材!「時給1000円」のアルバイトとして入り込んだジャーナリストが思わず書き留めた、先輩社員の〈衝撃の一言〉とは?

ユニクロに1年間にわたって潜入取材!「時給1000円」のアルバイトとして入り込んだジャーナリストが思わず書き留めた、先輩社員の〈衝撃の一言〉とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

ユニクロの店舗に時給1000円のアルバイトとして1年間潜入取材して溜まったメモは30冊以上。記録を書き残す以外に重要なメモの役割とは? ユニクロ、アマゾン、ヤマト運輸、佐川急便からトランプ信者の団体まで名だたる大企業・団体に潜入してきたジャーナリストの横田増生氏による著書『潜入取材、全手法』(角川新書)から一部を抜粋・再編集して、お届けします。

メモの執筆材料集め以外の「重要な役割」

メモ帳を使うときに気を付けなければならないことは、決して落としてなくさないことだ。私の場合、サービス残業をしている疑いのある店長の出勤時間なども書いていたため、だれかが拾ってメモを読めば、潜入取材の意図が知られてしまうかもしれない。私は1日に何度も、メモがポケットに入っていることを確認した。

 

なかには、とびぬけて記憶のいい人がいるかもしれない。フォトグラフィック・メモリーといわれる映像記憶能力を持つような人だ。しかし、たいていの人の記憶は頼りなく、はかない。たとえば、昨日の夕食の献立は思い出すことができても、3日前、一週間前となると、自分が何を食べたのかさえ曖昧になる。

 

それはわれわれの記憶が日々、更新されており、脳に過重な負担がかかることがないようにと、必要のない記憶が消されていくように設計されているからだ。脳内で一時的な記憶を蓄えるといわれる海馬、そこにとどめておけるワーキングメモリーの許容量は、7個前後といわれる。

 

ジャーナリストを志すためには、そんないい加減な自分の記憶力に頼らないことが必要となる。何でもメモに残す。何が重要かという判断は二の次として、書くための材料を集めるために、とことんメモを取る。

 

さらに、あとで語るようにメモを残すことは、名誉毀損裁判で訴えられたとき、書き手を守ってくれるという重要な役割も果たす。

 

メモに残すのは取材のときだけにとどまらない。取材が終わり、何カ月かかけて本を執筆する際、途中でいい文章が頭に浮かんでくることがある。往々にして、ぼーっとしているときに、いい文章が浮かんでくるものだ。そのときも、必ず書き留める。

 

自分の頭に浮かんできたことだから、あとになっても簡単に思い出せるだろう、と考えるのは大間違いだ。いい文章が浮かんでくるのは一回だけで、そのあと、どうしても思い出せないということがしばしばある。浮かんだ文章を書き留めていないと、大きな魚を逃したような後悔に襲われて歯嚙みすることになる。

次ページ天候や匂い、BGMも書き留める

※本連載は、横田増生氏による著書『潜入取材、全手法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

潜入取材、全手法

潜入取材、全手法

横田 増生

KADOKAWA

企業に最も恐れられるジャーナリストが、その手法を惜しげもなく明かした! 誰でも出来る、誰でも書ける。 企業に最も恐れられる潜入取材のプロが、そのノウハウを全公開! 読書術に文章力を高める方法はもとより、レポー…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧