ワンオペ育児で慰謝料請求できるケースとできないケース
ワンオペ育児で離婚する場合、慰謝料を請求できるのでしょうか?
基本的には慰謝料請求できない
ワンオペ育児の場合、多くは協議や調停における合意によって離婚するものと考えられますが、その場合、慰謝料請求は困難です。慰謝料は、離婚原因を作った有責性がある配偶者に支払い義務が発生するものです。相手が家事育児をしないのでワンオペ育児状態になったというだけでは、慰謝料が発生するほどの有責性は認められにくいといえます。協議や調停で離婚する場合、財産分与や養育費の請求はできますが慰謝料は基本的に請求できません。
ワンオペ育児で慰謝料請求できるケース
ワンオペ育児離婚する場合でも相手が不倫や家出をした場合や暴力、モラハラ被害を受けている場合には相手に有責性が認められ、慰謝料が発生します。裁判において上記で示した事実を立証すれば、離婚判決で相手に対する慰謝料の支払い命令を出してもらえます。
ワンオペ育児と親権、養育費
ワンオペ育児で離婚するとき、子どもの親権はこれまでワンオペで育児を担ってきた配偶者に認められる可能性が高いといえます。
裁判所では子どもの親権を決めるとき、これまでの養育実績と今後子どもと密接に関わってよい関係を築いていけるかを重視しています。ワンオペ育児で子どもを一手に引き受けていた人は当然養育実績が高くなります。また、これまで子どもを育ててきたのですから、今後も子どもとよい関係を築いて適切に養育していける蓋然性が高いと言えるでしょう。
反対に、これまで非協力的だった相手に親権を認める理由はありません。ワンオペ育児で離婚するとき、相手が「子どもを渡さない」などと言い出しても、親権はあなたに認めてもらえる可能性が高いので安心しましょう。また、親権者になったら子どもが20歳になるまで養育費を請求できます。きちんと公正証書や調停で取り決めておけば、相手が不払いを起こしたときにも差押えによって回収できます。
まずは周囲の力を借りること
ワンオペ育児状態は心身ともに負担がかかるので、追い詰められて「離婚したい」と考えてしまうものです。ただ離婚だけが解決方法ではありません。まずは親や行政機関、カウンセラーのサポートを利用したりパートナーと話し合ったりして、状況改善を目指しましょう。
それでもどうしても夫婦関係を維持できないなら、弁護士などの専門家に相談してみるなど、周囲の力を頼ることも1つの手です。
白谷 英恵
Authense法律事務所
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