夫より稼いでいる妻が「ワンオペ育児」 を理由に「離婚」を決断も、夫は頑なに拒否…訴訟でも認められないワケ【弁護士が解説】

夫より稼いでいる妻が「ワンオペ育児」 を理由に「離婚」を決断も、夫は頑なに拒否…訴訟でも認められないワケ【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

近ごろ、「ワンオペ育児」に不満を持つ女性が増えています。いまや子育て世代の女性の多くは仕事をしているなか、仕事から帰宅後も家事に育児にと追われ、心身ともに追い詰められてしまうようです。本記事では、ワンオペ育児が理由による離婚について、Authense法律事務所の白谷英恵弁護士が解説します。

ワンオペ育児で離婚できるケースとできないケース

ワンオペ育児を理由とした離婚は認められるのでしょうか?

 

離婚できるケース

ワンオペ育児が理由で離婚できるケースは以下のとおりです。

 

■協議離婚で相手が離婚に同意した

協議離婚で相手が離婚に合意した場合には、離婚できます。協議離婚では離婚原因が何であれ、夫婦が双方とも離婚に納得していたら離婚できるからです。役所で離婚届をもらってきて夫婦の双方がサインして必要事項を記入して提出すれば、それだけで離婚が成立します。

 

■調停離婚で相手が離婚に同意した

調停離婚でも、相手が離婚に合意したら離婚可能です。調停離婚も夫婦が話し合いをして離婚する手続なので、離婚理由は問われないからです。ワンオペ育児であれほかの理由であれ、夫婦の双方が納得していたら調停が成立して離婚させてもらえます。裁判所から届いた「調停調書」を持参して役所に行き、1人で離婚届を出せば離婚が成立します。

 

離婚できないケース

一方離婚できない可能性があるのは以下のようなケースです。

 

■相手が離婚に応じないケース

協議でも調停でも、相手が離婚に応じなければ離婚できません。勝手に離婚届を偽造して提出しても無効ですし、場合によっては犯罪になってしまいます。調停で相手が頑なに離婚を拒む場合、話しが平行線になるので調停は不成立になって離婚できません。

 

■訴訟で法律上の離婚理由がないケース

協議でも調停でも離婚できない場合、最終的に離婚訴訟を起こして裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。ただ、離婚訴訟で離婚を認めてもらうのは簡単ではありません。裁判所は以下の5つの法律上の離婚理由のうち1つ以上がないと離婚を認めないからです。

 

1.不貞(不倫)
2.悪意の遺棄
3.3年以上の生死不明
4.回復しがたい精神病
5.そのほか婚姻生活の継続を困難とする、上記の4つに準ずるほど重大な事由

 

ワンオペ育児は、通常上記の5つのどれにもあてはまりません。

 

離婚訴訟で離婚するには

離婚訴訟で離婚したければワンオペ育児以外の離婚原因が必要です。たとえば相手が不倫して家庭を顧みずワンオペ育児状態になっている、相手が生活費を入れない、家出した、相手が暴力を振るう、モラハラ被害を受けている、などの事情があれば離婚できる可能性があります。

 

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