「遺産4,100万円すべてを長女に」遺言を遺し他界した祖父…親が亡くなり代襲相続した「孫」が遺留分請求できる“妥当な金額”【弁護士が解説】

「遺産4,100万円すべてを長女に」遺言を遺し他界した祖父…親が亡くなり代襲相続した「孫」が遺留分請求できる“妥当な金額”【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

孫には原則として遺留分が遺言書をありません。しかし、例外的に遺留分の権利を有するケースも。孫へ相続が発生する場合、のちのちのトラブルを避けるためには、事前の準備が肝要です。本記事では、孫に遺留分があるケースについて、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

孫「自分の遺留分はいくらなのか?」

孫に遺留分がある場合、孫が自分の具体的な遺留分を計算するにはどうすればよいのでしょうか? ここでは、ある男性の相続が発生した例から、次の前提で遺留分を計算する流れを解説するとともに、計算例を紹介します。

 

・相続人:配偶者、先に死亡した長男の子(孫)2名、長女
・被相続人の遺産総額:4,100万円
・被相続人の負債総額:100万円
・被相続人が亡くなる3年前に、長女に対して贈与した財産:2,000万円
・被相続人は長女に全財産を相続させる旨の遺言書を遺しており、負債も全額長女が負担した

 

とはいえ、実際に計算しようとすると、計算に迷ってしまうことも少なくないでしょう。実際のケースで遺留分計算にお困りの際は、弁護士への相談をお勧めします。

 

遺留分計算の基礎となる財産を計算する

はじめに、「遺留分計算の基礎となる財産」を計算します。遺留分計算の基礎となる財産は、次の式で算定します(同1043条1項)。

 

遺留分計算の基礎となる財産=被相続人が相続開始の時において有した財産の価額+一定の贈与財産の価額-債務の全額

 

「一定の贈与財産」とは、被相続人がした贈与のうち、次のいずれかに係るものです。

 

・相続人以外の者に対して、相続開始前の1年間にした贈与
・相続人に対して、相続開始前の10年間にした贈与
・時期を問わず、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってした贈与

 

例のケースに当てはめると、遺留分計算の基礎となる財産は次のとおりとなります。

 

遺留分計算の基礎となる財産=4,100万円+2,000万円-100万円=6,000万円

 

自分の遺留分割合を確認する

次に、自分の遺留分割合を確認します。先ほど解説したように、例のケースにおける各相続人の遺留分割合は次のようになります。

 

・配偶者:4分の1
・長男の子(孫)1:16分の1
・長男の子(孫)2:16分の1
・長女:8分の1

 

遺留分割合を乗じて遺留分額を算定する

遺留分計算の基礎となる財産の額に遺留分割合を乗じて、各相続人の遺留分割合を計算します。例のケースにおいて、それぞれの遺留分額は次のとおりです。

 

・配偶者:6,000万円×4分の1=1,500万円
・長男の子(孫)1:16分の1=375万円
・長男の子(孫)2:16分の1=375万円
・長女:8分の1=750万円

 

つまり、例のケースにおいて、孫1と孫2はそれぞれ長女に対して375万円の遺留分侵害額を金銭で支払うよう請求できるということです。

 

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