「遺産4,100万円すべてを長女に」遺言を遺し他界した祖父…親が亡くなり代襲相続した「孫」が遺留分請求できる“妥当な金額”【弁護士が解説】

「遺産4,100万円すべてを長女に」遺言を遺し他界した祖父…親が亡くなり代襲相続した「孫」が遺留分請求できる“妥当な金額”【弁護士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

孫には原則として遺留分が遺言書をありません。しかし、例外的に遺留分の権利を有するケースも。孫へ相続が発生する場合、のちのちのトラブルを避けるためには、事前の準備が肝要です。本記事では、孫に遺留分があるケースについて、Authense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

孫に遺留分があるケース

例外的に、孫が遺留分の権利を有する場合があります。ここでは、孫が遺留分を有することとなるケースを4つ紹介します。

 

1.孫が被相続人の養子となっている場合
2.孫の親(被相続人の子)が死亡している場合
3.孫の親(被相続人の子)が相続人から廃除された場合
4.孫の親(被相続人の子)が相続欠格となった場合

 

1.孫が被相続人の養子となっている場合

1つ目は、孫が被相続人の養子となっている場合です。相続において、養子は実子と同等に扱われます。そのため、孫が養子となっている場合、実子と同じく相続人としての権利を有し、遺留分の権利も有することとなります。

 

なお、養子は相続税の計算上は一部において実子とは異なる取り扱いがなされるものの、相続分や遺留分など民法上の権利は実子と変わりがありません。混同しないようご注意ください。

 

2.孫の親(被相続人の子)が死亡している場合

2つ目は、本来相続人になったはずの被相続人の子ども(孫の親)が、被相続人の死亡以前に死亡している場合です。この場合は孫が代襲して相続人となり、同時に遺留分の権利も有することとなります。

 

3.孫の親(被相続人の子)が相続人から廃除された場合

3つ目は、本来相続人になったはずの被相続人の子ども(孫の親)が、相続人から廃除された場合です。「廃除」とは、相続人になるはずであった者が次のいずれかに該当する場合に、相続人の権利を剥奪することです(民法892条)。

 

・被相続人に対して虐待をした
・被相続人に重大な侮辱を加えた
・そのほかの著しい非行があった

 

相続人からの廃除は、被相続人自らが生前に家庭裁判所に請求するか、被相続人が遺した遺言に従って遺言執行者が家庭裁判所に請求することでなされます。廃除は代襲原因となるため、被相続人の子どもが廃除されると、その廃除された子どもの子ども(被相続人の孫)が相続人となり、遺留分の権利も有することとなります。

 

4.孫の親(被相続人の子)が相続欠格となった場合

4つ目は、本来相続人になったはずの被相続人の子ども(孫の親)が、相続欠格に該当した場合です。相続欠格とは、相続人になるはずであった者が次のいずれかに該当する場合に、相続人の権利を自動的に失うことです(民法891条)。

 

・故意に被相続人または先順位若しくは同順位の相続人を死亡させたことや、死亡させようとしたことで刑に処せられた者

・被相続人が殺害されたことを知ったにもかかわらずこれを告発しなかった者や、告訴しなかった者(その者に是非の弁別がないときや、殺害者が自己の配偶者または直系血族であった場合を除く)

・詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者

・詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

・相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

 

相続欠格は、代襲原因となります。そのため、被相続人の子どもが欠格事由に該当すると、その欠格事由に該当した子どもの子ども(被相続人の孫)が相続人となり、遺留分の権利も有することとなります。

 

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