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もし、孫に財産を残したいとお考えでしたら、生前に相続税の対策を立てておくことが大切です。「孫は法定相続人でないから相続税がかからない」と考えている人もいますが、それは誤解です。被相続人から財産を受け継いだのであれば、法定相続人でない孫でも相続税を納める義務があります。せっかく孫に財産を残しても、それは同時に孫に相続税を負担させることになってしまいます。そこで孫に課税される相続税の概要と、孫に課税される相続税の負担を軽くする方法について解説していきます。

相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度は、贈与税が課税されずに、または課税されたとしても少ない負担で生前贈与ができる制度です。特別控除額は2,500万円と大きく、かつ贈与者ごと、受贈者ごとに適用できます。生前贈与を受けるときに相続時精算課税を適用すると、課税対象から最大2,500万円が控除され、贈与税の負担が軽くなります。その後、贈与者が亡くなったとき、相続財産に生前贈与された部分を加えて相続税を計算します。生前贈与で贈与税を納めていれば、相続税からその部分を差し引きます。立法当初は親子の間でだけ適用できる制度でしたが、平成27年1月1日以後、祖父母と孫の間でも適用できるようになりました。

 

■適用できる人・対象となる財産

相続時精算課税が適用できるのは、原則として60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の推定相続人である子・孫に贈与が行われた場合です。年齢は、贈与があった年の1月1日時点で判定します

 

*贈与が令和4年3月31日以前の場合は、20歳以上となります

 

生前贈与する財産の金額や贈与の回数、期間は問われません。また、資産の種類も問われません。現金であっても不動産であっても構いません。

 

■2,500万円の特別控除額

相続時精算課税を適用した場合、特別控除により2,500万円までは贈与税が課税されないことになります。この特別控除額は贈与者ごと、受贈者ごとの金額であり、一人の孫が祖父と祖母のそれぞれから生前贈与を受けて相続時精算課税を適用する場合には、あわせて5,000万円まで贈与税が課税されません。また、祖父から2人の孫に贈与する場合は、孫は2人とも相続時精算課税を適用できます。

 

贈与の期間は問われませんが、贈与が複数年にわたる場合は、贈与の累計額が2,500万円に達するまで控除できます。贈与税の基礎控除額(110万円)のように、特別控除額が年ごとに2,500万円あるわけではありません。贈与の額が特別控除額を超える場合は、その超える部分に一律20%の税率で贈与税が課税されます。

 

■一度適用すると生涯続く

相続時精算課税を適用する場合は、最初の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、贈与税の確定申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付して税務署に提出します。

 

一度、相続時精算課税を適用すると、贈与者が亡くなるまで継続されます。途中で撤回することはできません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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