親父、たくさん遺してくれてありがとう…〈年金月24万円・退職金2,000万円〉分相応の老後を送る67歳長男だったが、90歳・我が子を想う父の死で一転、破滅へ。元凶となった「遺言状の中身」【FPの助言】

親父、たくさん遺してくれてありがとう…〈年金月24万円・退職金2,000万円〉分相応の老後を送る67歳長男だったが、90歳・我が子を想う父の死で一転、破滅へ。元凶となった「遺言状の中身」【FPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

故人の意向を記す「遺言状」。親から子へ遺された場合、我が子を想って遺した財産の継ぎ先が書かれているでしょう。しかし、なかにはもらわなければよかったと後悔する相続財産もあって……。本記事では、鎌田さん(仮名)の事例とともに、相続における注意点についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

知らなかった…不動産経営の落とし穴

それから5年が経ったころ、鎌田さんは思わぬ悩みを抱えることになったのでした。

 

「お金がない……」。

 

家計が赤字になった理由

アパート経営には固定資産税や火災保険料、修繕費、管理費用などの経費が掛かります。そのため、家賃収入から必要な経費を差し引いて得られた利益が不動産収入としての利益となります。また、給湯機やエアコンなど、各部屋の設備が劣化すると、所有者である鎌田さんに修理をする義務があり、それらの修繕費も発生します。それが5棟分も重なってくるため、高額な費用の支払いが段々と苦しくなってきます。

 

さらに、不動産経営の素人である鎌田さんから抜け落ちていたのは、経費と税金による支出です。

 

家賃収入から得られた利益は、確定申告をしなければなりません。家賃収入は、公的年金などの所得と合わせて所得として合算されるため、所得税や住民税、国民健康保険料の課税対象となり、翌年以降支払う必要があります。しかし、これまでに不動産経営の経験がなく、利益がどの程度出るのか、毎月の収支がどうなるのかをまったく見ずに家賃収入を使ってしまっていたのです。つまり、そういった経費や税金を考えず、収入を大幅に支出が超えてしまう水準の生活を送っていたということです。

 

また、アパートを継いだ当時、満室経営となると5棟合計で月に300万円程度の収入がありましたが、周辺に新しいアパートが次々と建築されるなかでは、鎌田さんの古いアパートの入居者は減る一方です。家賃を下げて入居者を増やそうという試みもしましたが、入居者が入るようになっても満室時の収入は減り、入居者もそれまでよりも低い所得層の人が集まるようになり、家賃滞納などのトラブルが増えるように。

 

不動産会社からはリフォームを勧められますが、手元のお金に余裕がなく、入居者が増えるかどうかもわからない投資をする気にはなれず……。

 

結果、古くて家賃が安いアパートのまま経営を続けることになり、資金繰りと家賃の悩みを抱え、現状を把握できないままどうしたらいいかと頭を抱えることになったのでした。「このままでは破滅だ。こんなことになるなら、もともとなければよかった……」鎌田さんは後悔しています。

 

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