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AI導入推進を阻む「人材不足」と「AI教育」
フィリピンの情報技術・ビジネスプロセス管理(IT-BPM)業界では、人工知能(AI)の導入率が60%を超えているものの、AIを扱える人材の不足が課題となっています。また、ITおよびビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業の多くがAIの使用を開始している一方で、データプライバシーやセキュリティ、既存システムとの統合が課題としてあります。
フィリピンの教育機関では、AIに精通した教員の不足が大きなボトルネックとなっており、これがAIに対応できる労働力の育成を妨げています。特に、現在の卒業生は産業界のニーズに十分に対応しておらず、BPO業界においても追加の再訓練やスキル向上が必要です。このため、企業にとっては余分なコストが発生することが懸念されています。
フィリピン政府もAIやサイバーセキュリティ分野での競争力を高めるための労働力のスキルミスマッチを解消しようとしています。政府と産業界は「フィリピンスキルフレームワーク」を立ち上げ、教育機関の成果を産業界のニーズに一致させるための取り組みを進めています。しかし、このフレームワークは現時点での職種にしか対応していないため、AIの進展に伴って新たに生まれる職種にも備える必要があるとの指摘があります。
AIがもたらす自動化の進展により、未来の仕事が大きく変わると予想されていますが、BPO業界団体は教育、エンジニアリング、倫理に基づいた効果的なAIガバナンスを模索しています。
また、フィリピン人がAIの進展に適応できるようにするため、AIリテラシー向上の取り組みが必要としています。科学、技術、工学、数学(STEM)関連のコースを充実するための教育プログラムが求められているなか、フィリピン商工会議所も、STEMプログラムの強化を提案し、フィリピンの卒業生の雇用可能性を高めることを目指しています。フィリピン商工会議所人材開発財団は、AIに対応するためには、まずデータ分析者を育成することが重要であるとし、AIの進展があっても、データを分析し、チェックするための高いスキル人材が求められるとしています。
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