海外を見ると世界の国々のなかで相続税がある国は半分ほどしかありません。半分しか相続税がないことによって過度な租税回避を行おうとする超富裕層が後を絶ちません。世界の国々の相続税はどのような状況となっているのでしょうか。富裕層が多いアジア、欧州の国々の相続税について見ていきます。本連載では、富裕層の国際相続の諸課題について解説します。
世界の国々の相続税について見ていきたいと思います。
直接税において、所得税と法人税はタックスヘイブンを除いて、ほぼすべての国の税制に組み込まれています。下記は富裕層の多いアジア・大洋州、米州、欧州の3つに区分して、相続税の有無を示した一覧表です。相続税のある国とない国はほぼ1:1のような割合となっています。
相続税がない国々が半分ほどしかないことによって、租税回避の潜在的可能性が高まっているといえます。
相続税は、民法の親族法、相続法との関係もあると共に、その国の歴史と深い関係があります。なぜ、この国にあって、ほかの国にはないのか、という単純な疑問に答えるためには、その国の歴史と税制史をたどる必要があります。
学問的に探究するのであれば別ですが、話のスタートとしては、この国は相続税があり、別の国はなしということから始めます。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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連載税務当局が監視する、超富裕層の国際相続をふかぼりする