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人が亡くなったら必ず相続が発生しますが、相続税の申告義務があるかどうかは「遺産総額と基礎控除額のバランス」が基礎となります。仮に申告義務の要否判定を誤ってしまうと、後々税務調査で指摘を受け、延滞税や無申告加算税などのペナルティを課せられる可能性があります。そこで相続税申告の要否判定について税理士が解説します。

相続税の申告義務の要否判定でよく迷う2つのケース

ここまでで、相続税の申告義務の要否判定についての基本的なルールを解説してきました。ただ相続税の申告義務の判定に迷う、個別の特殊なケースが2つあります。ここからは「一見相続税の申告義務はなさそうだけど相続税申告が必要」という、代表的な事例を2つ紹介します。

 

名義預金を含めると遺産総額が基礎控除額を上回る

名義預金を含まない遺産総額が基礎控除額以下であっても、名義預金を含むことで基礎控除額を上回る場合には、相続税の申告義務があります。

 

名義預金とは、被相続人の名義ではないものの、実際にその通帳の原資は被相続人であり、その通帳の維持管理や運用も被相続人が行っていた場合に、被相続人の財産とみなされる口座預金のことです。

 

◇名義預金の例

・専業主婦なのに残高が被相続人の夫よりも多いまたは同額の妻名義の口座

・被相続人が子や孫の将来のために貯蓄している子供や孫名義の口座

・被相続人が相続税対策として作った配偶者や子供の名義の口座

 

これらの名義預金も、通常の相続財産と同様に遺産総額に算入されます。「被相続人の名義ではないから相続財産には該当しない」と、安易に判断しないよう気を付けましょう。

 

遺産は相続していないが生命保険金を受け取った

生命保険金や死亡退職金は「みなし相続財産」となり、「相続人×500万円までの非課税枠がある」と説明しました。ただ、相続人の遺産は相続せずに死亡保険金のみ受け取っていた場合でも、相続税の申告義務があります(生命保険金を含む遺産総額が、基礎控除額を上回る場合に限定)。

 

「遺産ではなく生命保険金だけだから相続税の申告義務はない」と思い込まないよう、気を付けましょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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