不動産の名義…“個人”と“法人”どちらが得?
――経営者のなかには、資産を購入する際、個人で持つか法人で持つかで悩む人も多いと思うのですが、実際のところどうなんですか?
黒瀧氏(以下、黒)「基本的には法人で資産を持ったほうがメリットは多いですね」
――それはなぜなんでしょうか?
黒「法人名義で購入すると、個人で購入するよりもトータルで用意するお金が少なく済むんです。かなり単純化して話しますが、たとえば1,000万円の資産を購入するとしましょう。
所得税と住民税が合わせて税率50%だった場合、1,000万円の資産を購入するためには役員報酬を2,000万円出さなければいけません。
しかし、法人名義で買う場合は所得税や住民税を考えなくても良いので、用意するお金は1,000万円で済むんです」
――なるほど、個人の税金を考えると、法人で購入したほうが安く済むんですね。
黒「さらに、法人の場合は資産の購入費用や維持費などを経費として計上できます」
――会社の節税にもつながるんですね。それを聞くと、法人で買わない手はないですね。
黒「ただし、資産を購入する際にはまとまったキャッシュが必要になるほか、資産ごとにデメリットも存在します」
不動産を法人で買うメリット
――ではまず、不動産を法人で持つメリットとデメリットについて教えてください。
黒「法人で不動産を購入すれば、減価償却費や不動産に関連する費用を経費にできます。不動産には修繕費や固定資産税などの費用が購入後にもかかってきますが、こういった費用をすべて経費計上して、法人の利益を大きく抑えることができるわけです」
――なるほど、不動産を法人で購入するだけで、法人の節税対策になるんですね。
黒「ええ。くわえて、購入した物件を経営者自身が借りると家賃が発生しますが、その金額を低く設定することができます」
――これはどういうことなのでしょうか?
黒「こちらについては役員社宅制度という制度を活用します。役員社宅制度とは、会社で購入または賃貸契約をした物件を役員に貸し出すことで、役員が制度のなかで決まっている家賃に相当する金額を毎月支払うだけで物件を借りられる制度です」
――家賃に相当する金額っていうのはどう決まるんですか?
黒「こちらは物件によって変わってきます。ただ、基本的には物件の価値を考えて実際に払うべき家賃の半分以下になることが多いです」
――つまり高くても半額の家賃で家を借りられるということですか。物件の購入費などを会社の経費にできるうえ、家賃も安くなるなんてありがたいですね。
黒「ただし、あまりに広い物件や豪華な物件の場合は役員社宅制度の適用外になる可能性があるので注意が必要です」
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