令和だけども!「24時間働けますか?」の精神で働いていた50代経営者…自らの働き方を見直すきっかけになった若手経営者からの“耳が痛い”ひと言とは?

令和だけども!「24時間働けますか?」の精神で働いていた50代経営者…自らの働き方を見直すきっかけになった若手経営者からの“耳が痛い”ひと言とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

「責任感が強く、なんでも自分でやりたいタイプ」で社長になっても社員より先に自ら精力的に動き回っている創業10年の会社社長の川口さん(仮名)。部下から「社長、少しは私たちを頼りにしてくれませんか?」と言われてもどこ吹く風。相変わらず忙しい毎日を送っていました。しかし、ある若手経営者との出会いをきっかけに、川口さんはこれまでの経営者としてのあり方を見直すことに……。本記事では、世界で20万社以上のユーザーを持つ起業家のための経営システム「EOS(the Entrepreneurial Operating System)」の日本人唯一専門家である久能克也氏が、事例を通じて組織化と権限委譲の重要性を解説します。

「アカウンタビリティ・チャート」で組織構造をつくる

背中にじっとりと汗をかいたまま、川口社長はようやく「……どうすればいいんでしょうか?」という言葉を絞り出しました。若手経営者は続けます。

 

「権限委譲をしましょう。家族やプライベートを犠牲にすることが美徳だった時代は終わったと思います。あなたが1番エネルギーに溢(あふ)れた状態でいられるだけの「働く時間」を決める。それ以外の時間は大切な人や自分自身のために使う。そして得意で好きなことに集中する。それ以外の仕事は、その仕事が得意で好きな人に任せるんです、」

 

その上で、若手経営者が示したプランはこうです。

 

まず、会社の未来を描く「ビジョン」を作ること。そして、意思決定を担当する「経営チーム」を結成すること。経営チームができれば、権限委譲の土台も自ずと作られていきます。

 

「大切なのは、川口さん自身が『つるから手を放す』ことです。限られた時間で社長業に専念できるよう、あなたが担当すべきでない権限を分類し、手放していくのです。あとは組織を構造化すればいい。経営チームで話し合いながら、組織を次のレベルに引き上げる組織構造をデザインし、全社員の役割と責任を明確に定義していくのです」

 

※思い切って手放すことのたとえ

 

若手経営者が紹介したのは「アカウンタビリティ・チャート」と呼ばれるツールでした。アカウンタビリティ・チャートでは“組織の主要機能”を定義しており、次の3つに分類されます。

 

●営業・マーケティング:お客を連れてくる機能

●オペレーション:お客に商品・サービスを提供し、価値を届ける機能

●バックオフィス:お金の流れを管理し、効率化し、利益を出しやすい組織にする機能

 

これらの分類(機能)に基づいて人員を配置し、かつ、それぞれに責任者を1人置きます。こうして組織構造の基礎を作っておけば、社内の仕事も分類され、社長の仕事とそれ以外の仕事が明確になります。組織のデザインがここからはじまるわけです。

 

「責任者は妥協して選んじゃダメですよ。妥協してGWCでない人を置いてしまうと、その責任は上司の元に戻ってきます。つまり仕事が増えてしまうのです。アカウンタビリティ・チャートによって果たして欲しい責任が明確になっているので、採用の成功率も上がります。つるから手を放す、つまり権限を手放すというのは勇気がいることです。でもそこから全てが始まります。」

 

※GWC:Gets it(その仕事を理解している)Wants it(その仕事が心から好きである)Capacity to do it(その仕事をする能力と経験がある)の頭文字をとった言葉

次ページ権限委譲による「寂しさ」は、組織が前に進んでいる証拠

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