本記事のポイント
・暴落前の水準を取り戻した日経平均
・再度上値を目指せるかは新たな買い材料待ち
暴落前の水準を取り戻した日経平均
日経平均株価は大幅続伸し、終値で3万8,000円台を回復した。
前日(8月15日)の米国株式相場の上昇に加え、外国為替市場で円相場が一時1ドル=149円台に下落したことが直接的な買い材料になった。米国株の上昇・円安加速の背景は、前日に発表された小売売上高が市場の予想を大幅に上回る強いものだったことだ。それにより、米国景気に対する懸念が和らいだ。そもそも今回、日本株急落を招いた要因のうち、明示的なものが米国景気の後退懸念による米国株安・円高への巻き戻りだったわけだから、それらが否定され、戻りを辿ったとなれば、日本株も買い戻されるのは当然だろう。
日経平均はチャートからわかるとおり、8月2日の2,200円安、5日に4,450円安という2つの暴落前の水準を取り戻した。そのような理不尽な、説明のつかないような暴落は「なかったこと」にしたといえる。株式市場が企業価値を反映して株価がつけられるとすれば、わずか2日でその価値が2割近くも吹き飛ぶなんてことはあり得ないからだ。
これら2日にわたる暴落は、完全にミスプライスだと8月7日配信記事(「日本版ブラックマンデー」、この先の展開は?…「反騰ターゲット」のタイミング【ストラテジストが解説】)で述べている。その先の展開については、
とも述べた。想定どおり、早速にそのミスプライスは修正されたということである。
日経平均は7月につけた最高値から6日の暴落時の安値までの下げ幅に対して、半値戻しを超え、その6割を取り戻した格好だ。
正確にいうと、今日(8月16日)の高値3万8,143円は下げ幅の61.8%に当たる。フィボナッチ級数の61.8は戻りの目途としてよく意識される。
バリュエーション面でも日経平均の予想PERは15倍台を回復した。過去1年間の平均は15.9倍(μ)で、6日の急落はそこから3標準偏差下(μ‐3σ)のレベルまで一気に下がった文字どおりの急落だった。しかし、現状は過去平均並みである。過去1年間の平均はオレンジの線で示した15.9倍(μ)だが、青線で示したアベノミクス開始以来2013年からの長期平均のPER(long term μ)は15.2倍である。グラフは昨日時点までのものだから、現在はそれを越えている。
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