チームなら「一人の限界」を超えた売上が出せる
自分の未熟さに気づいたからといって、次の日からガラリと変われたわけではありません。そもそも、どう変わるべきかがわかりませんでした。
しかし、自分の中に問題意識が芽生え、少しずつ「リーダーとは何か」「マネジメントとは何か」を考えるようになりました。仕事が面白くなってきたのは、ちょうどこの頃です。
それまでにもビジネス書はよく読んでいましたが、この頃から「マネジメント」や「コーチング」関連の本を読むようになりました。書店に行ってタイトルにそれらを連想させるワードが入っていたら、とりあえず買って、手当たり次第に読みました。また、周りをよく観察するようにもなりました。
売上トップのチームと自分のチームの何が違うのかを見ていると、トップのチームはメンバーがみんな楽しそうに働いていることに気がつきました。お互い笑顔で挨拶したり、冗談を言い合ったり、とにかく私のチームとは明らかに雰囲気が違うのです。私のチームはギスギスして、みんな切羽詰まったような顔をしていました。
「どうすればメンバーが楽しくなるのだろう」と考え、さらにトップチームのリーダーの振る舞いなども観察して、こっそり真似をしたりもしました。本に書いてあったことを取り入れることもしました。
そうして試行錯誤をしていくうちに、リーダーとしての自分の役割がわかるようになり、チームをどう動かしていけばいいかが見えてくるようになりました。
厳しさと優しさのバランスが重要であることを知り(このバランスとりは今でも難しく思いますが)、また信頼関係をはじめにつくらなければ表面的な付き合いで終わってしまい、チームとしての相乗効果が生まれにくいことも知りました。
ビジネスマンとしてではなく人として繋がるためには、みんなそれぞれ違うということを認めたところからスタートしないと、私のやり方の押し付けになってしまいモチベーションが下がる原因になることもわかりました。
試行錯誤しているうちにチームがうまく機能しはじめ、成績もついてくるようになりました。その手応えを感じると、また一段と、リーダー業が楽しくなっていきました。
一人で営業していた頃は、売上トップといってもせいぜい1000万円くらいが限界です。これがチームになると2000万、3000万になります。単純に大きな金額が動く楽しさがありました。それ以上に、チームをまとめ上げて目標を一つひとつ達成していく面白さを知りました。
気がつけば、みんなの頑張りのおかげで、全支店で売上1位の支店長になっていました。
仕事に向き合う真面目さと、学ぶ姿勢が重要
リーダー業をするようになって、自分が「できない人間」だと再認識できたことは大きかったと思います。
今でも私は自分を「底辺に近い人間」だと思っています。これは謙遜でも何でもなく、本当の気持ちです。もともと学歴もありませんし、決して頭もよくありません。口達者でもなければ、カリスマ性もない。あるとしたら、仕事に向き合う真面目さと学ぶ姿勢だけです。
私は今でも勉強だけは怠らないようにしています。本もたくさん読みますし、セミナーなどにも足を運びます。学生時代、あんなに勉強が苦手だったのにおかしなものです。
ちなみに、本でも人の話でも「これはいい」「使えるかも」と思った事柄については、本にラインを引いたり、心にメモをしたりするようにしています。
ただし、それをそっくりそのまま真似ることは、今はしません。なぜなら、それは自分のものではないからです。表面だけをコピーしても本質が理解できていなければ、それは全く違うものになってしまいます。場合によっては逆効果をもたらすことになってしまうかもしれません。
ですから、自分の中で咀嚼して、「そうか、これはこういうことだったのか」「あの本にはこういう書き方をしてあったが、実はこのことと同じだったんだ」と腑に落ちたとき、初めて自分のものとして使えます。