自分の死後「親族が遺産相続で大モメ」の悲劇を避けるには?生きている間に必ずやっておくべき「2つのこと」【CFPの助言】

自分の死後「親族が遺産相続で大モメ」の悲劇を避けるには?生きている間に必ずやっておくべき「2つのこと」【CFPの助言】

自分の死後、遺された親族が遺産についてモメてしまう事態は避けたいもの。たとえ遺産が少額だったとしても、相続トラブルが起きるケースは少なくありません。そのため、生きている間に自らの意思をきちんと伝えられるよう準備をしておくことが大切です。本記事では、ファイナンシャルプランナー菱田雅生氏の著書、『お金のトリセツ100』(経済法令研究会)から一部を抜粋・編集し、「遺言書」と「エンディングノート」について、その意味と必要性を解説します。

なぜ遺言書を用意したほうがいいのか?

■遺産分割では遺言書が優先される?

亡くなった人名義の財産を相続人で分けるのが、遺産分割。遺産分割は、遺言書があった場合は、その内容どおりに分割するのが基本です。そして、遺言書がなかった場合に相続人全員で話し合って決めるのが、協議分割です。

 

しかし、協議分割は、必ずしもスムーズに話が進むとは限りません。相続人による話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所による調停や審判によって分割されることになります[図表1]。

 

[図表1]遺産分割の方法
[図表1]遺産分割の方法

 

つまり、遺言書があるなら、その内容が最も優先されるので、自分の意思を残したいのであれば、遺言書を書いておくのが一番でしょう。

 

■確実なのは公正証書遺言!

遺言書には、さまざまなものがありますが、代表的なものは種類が3つあります。自分で書く「自筆証書遺言」、公証役場で公証人に書いてもらう「公正証書遺言」、事前に内容を知られる心配のない「秘密証書遺言」です[図表2]。

 

自筆証書遺言が最も気楽に作成できますが、内容に不備があると効力を失う可能性がありますので、作る際には、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家のアドバイスを受けたほうが無難でしょう。また、遺言者が亡くなって相続が発生した時には、家庭裁判所にて「検認」の手続きを行わなければなりません。

 

やはり、確実に残したいのであれば、公正証書遺言です。公証役場に証人を2人以上連れて行き、公証人に対して遺言の内容を話して公証人に書いてもらいます。2人以上の証人もいますし、遺言書の保管場所も公証役場で、家庭裁判所の検認も不要なので、遺言を確実に執行してもらうことができるでしょう。

 

なお、自筆証書遺言の保管場所は自由ですが、2020年7月から、法務局(遺言書保管所)で保管してもらうこともできるようになりました。

 

[図表2]遺言書の種類
[図表2]遺言書の種類

 

子どものいない夫婦が遺言書を書いておくべき理由

例えば、子どものいない夫婦で、夫の家族は弟1人だったとします。夫死亡時の法定相続人は妻と夫の弟の2人になります。法定相続分は、妻が4分の3、夫の弟が4分の1。遺言書がないと妻と夫の弟で遺産分割協議をしなければなりませんが、夫が「すべての財産は妻に渡す」という遺言を残していれば、夫の弟には遺留分(最低限財産を引き継げる権利)がそもそも認められていないので、その遺言に逆らうことができないのです。

 

次ページ法的効力がないエンディングノートを書くべき理由

※本連載は、ファイナンシャルプランナー・菱田雅生氏の著書、『お金のトリセツ100』(経済法令研究会)の中から一部を抜粋し、将来のお金の悩みを解決します。

お金のトリセツ100

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菱田雅生

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