日本の企業は9割以上が中小企業ですが、なかには従業員が数人しかいない小規模企業も無数にあります。また現在、離婚率は約35%ほど。離婚は珍しくありません。そのことからも、シングルペアレントの事業経営者も少なからず存在しています。その負担は大きく、体力的にも精神的にも超人的な苦労があるでしょう。今回、シングルペアレントの経営者に対して元配偶者が突如として現れる事例から、小規模企業における採用者予定者のバックグランド調査について考えていきます。※本記事で紹介している事例は、事案特定を防ぐため設定等を変えています。

知久さんの言い分をまとめると、こうなります。

 

●あの頃は若かった

●あれから10年、梨花と子どものことを忘れたことはなかったし、『二度と顔を見せるな』とあの日電話の向こうのお義父さんに言われた以上、会いにいけなかっただけで、ずっと会いたいと思っていた

●自分勝手だと思われるだろうが、自分があの子の父親であることは紛れもない事実であり、もし許してもらえるのであればやり直したい

●自分もいろいろ苦労や経験をして、今ならお義父さんの気持ちもわかる。お詫びし、会社に貢献できるよう真剣に働きたい

口を開けば「共同親権」…元配偶者に違和感 

一見、辻褄は合う主張ですが、梨花さんが戸惑ったのは和久さんから立て続けに届くメッセージの次のような部分です。まず通称“ロミオメール”に近い、大げさとも言える愛情表現。ライブやパーティーを行うバーでDJ兼バンドマンと客として知り合った頃から浮ついたところがあった人ですが、もう和久さんも40代。世間では立派な「おじさん」です。しかもあれからどうしていたのか、今は何をしているのか聞いたところ営業や講師などだと言い、チャラチャラした世界で生きているわけでもなさそうです。

 

また今すぐにでも一緒に暮らし再度入籍したいという知久さんに梨花さんが月2回の面会から始めたいと伝えてから、知久さんが共同親権という言葉をやたら使うようになったのにも、なんともいえない違和感がありました。現行法では離婚に際し、片方の親が親権を持ちます。親権者と実際の養育者が違っていても構いませんが、多くの場合、親権者が子の養育を行い、もう片方の元配偶者は養育費支払の義務を負い、また子に害がない限り面会請求権を有します。養育費の支払が面会の必須条件ではないものの、現実には養育費を払っていない元配偶者が面会は好きなだけできるというケースはレアでしょう。

 

ところが現行法の改正案では、夫婦が共同親権を有するように変更され、面会の拒否が原則できなくなるだけでなく、進学、手術、転居といった子の人生の重要事項については両親の同意が必要になるなど、言い方は悪いですが「育てていない側」の影響力が強くなります。SNSでもこの共同親権については多方面で激しい論争が巻き起こっています。

 

まだ正式に細部まで決定したわけでも、運用されているわけでもありませんが、いずれ共同親権が始まるのだからと強い口調で主張する知久さんに対して、梨花さんの頭の中で警報がなりました。子の気持ち、生活リズム、経営者としての立場、そういったものを無視するかの如くグイグイと性急に進めようとする彼の態度。こんな時、普通の女性であれば判断に迷い、せいぜい自分で彼のSNSをチェックするくらいしか思い浮かばないかもしれません。

 

幸い、梨花さんたちの会社では、コロナ明けから採用時バックグラウンドチェックを導入していました。きっかけは、経理担当者の不正だったそうです。バックグラウンドチェック導入後、経験豊かで腕の良さそうな中途採用候補者に反社との繋がりや経歴詐称が判明したことがあり、プロの調査への信頼は厚かったのです。そこで、今回、和久さんが経営に携わる気であることから、徹底した全項目調査を依頼しました。

 

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