(※写真はイメージです/PIXTA)

「同じ金額を払うなら、中古より新築のマンションの方がいいに決まっている」…確かに一昔前はそうだったかもしれません。しかし不動産価格が高騰している今は、そうとも言い切れません。今回は、不動産コンサルティング会社〈さくら事務所〉の創業者である長嶋修氏と〈さくら事務所〉の共著『マンションバブル41の落とし穴』(小学館)から一部抜粋し、マンションを選ぶ際に「新築がベスト」とはいえない事情についてご紹介します。

不動産デベロッパーが供給をコントロール…焦って購入はNG

 

求められる間取りも、昔と今とでは変わっています。かつては分譲マンションというと、70㎡3LDKのような間取りが一般的でした。今は、なるべくリビングを広くして、その代わりに寝室や子ども部屋は狭くてOK、ただし収納は十分にほしいというニーズが根強く、60㎡2LDKのような間取りがファミリー層に人気です。

 

とはいえ、狭い物件が積極的に好まれているわけではなく、多くの人が資金の問題で、やむを得ず狭い物件を選択せざるを得ないのが実情のようです。その証拠に、相場よりややお得な価格帯で70〜80㎡ほどの物件が出ると、驚くほど申し込みが殺到します。

 

東京オリンピック選手村跡地に建てられた大規模マンションの「晴海フラッグ」は、80㎡超の広めの住戸が多かったのですが、価格が割安だったために引き合いが強く、かなり高倍率の抽選になりました。

 

抽選に参加する際、申し込みは「1名義2戸まで」などと、販売規制がかかったことも話題を集めました。晴海フラッグは東京オリンピック選手村跡地に建ったということで話題性は抜群。ブランド力の高い中央区アドレスに加えて街全体の利便性などの魅力があるものの、最寄り駅から徒歩20分前後です。

 

前述のように、現在のマンションのトレンドが「駅前・駅近」志向であることはたしかですが、多少駅から遠くてもそれを上回る魅力があれば、人気が跳ね上がることを実証したレアなケースと言えるでしょう。

 

ちなみに、晴海フラッグは数期に分けて販売が行われていますが、大手デベロッパーが手掛ける大規模タワマンなどでは、このように期を分けて販売されることがよくあります。

 

たとえば3期に分けて販売される場合、1期に申し込みが殺到すれば、2期には販売価格が引き上げられます。人気の継続が確認できれば、3期はさらに値上げされることも。つまり、不動産デベロッパーは情勢を見ながら供給をコントロールしているのです。

 

そのため、デベロッパー側は「買うなら早くしたほうがいい」「次期の販売では価格が上がるかもしれない」などと言って、買い手に早く決断させようとすることがあります。

 

あらゆる観点から検討して、本当に良い物件であれば思い切って買ったほうがいいかもしれませんが、それで「早く買わなければ」と焦ってしまい、予算をはるかにオーバーしているのに購入を決断するのはNGです。

 

すぐに完売する物件ばかりではなく、デベロッパーが完成在庫をたくさん抱えているケースもあります。普通なら、値引きして売って完売にこぎつけそうなものですが、人気エリアの物件は売り手市場なので、デベロッパーもあまり売り急ぎません。値引きしなくても、いずれ売れる公算が高いからです。

 

3月の決算期前などは、不動産デベロッパーも売上を伸ばしたいので、割引価格で物件を買えることがありますが、売り手市場で超割安物件をつかむのは難しいでしょう。

 

 

長嶋 修

さくら事務所 会長

 

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マンションバブル41の落とし穴

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長嶋 修・さくら事務所

小学館

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