「自分たちの都合が悪いから」決断を急がせる
二次被害、三次被害にあうのはもちろん、そもそも最初に搾取ビジネスの被害にあうのも、明確な理由がいくつかあります。なかでも、最重要なものとしてお伝えしたいのは「決断は急がない」ことです。
福本信行さんの名作『賭博黙示録カイジ』というマンガに、次のような名言が出てくる場面があります(講談社/第7巻)。「世間はおまえらの母親ではない! おまえらクズの決心をいつまでも待ってはくれない! 一生迷ってろ! そして失い続けるんだ……貴重な機会(チャンス)を!」
意外にも、このセリフが刺さるという人がかなりいます。しかし、ご存じの方も多いと思いますが、このセリフを言っているのは典型的な「搾取型」の利根川幸雄というキャラクターです。このセリフに感化されて行動した若者たちは(主人公のカイジ以外)全員死んでしまいます。
僕は『賭博黙示録カイジ』という作品自体は大好きですが、しかし言い切ってしまうと「決断は遅くていい」のです。決断を急かして「貴重な機会(チャンス)」に飛びつかせようとする輩には、必ず急かさないといけない理由があります。
まず、じっくり考えられてしまうと、自分たちの「論理的な飛躍」や「矛盾」に気づかれてしまいます。さらに恐れるのは「調べられること」です。ですから「違和感を覚えた場合」は、必ず徹底的に裏を取るべきです。
一歩進めて、肩書だけではなく、相手のこれまでの活動、実績、経緯など、じっくり調べることです。場合によっては「ターゲットを囲い込む」仲間関係が見つかることもあります。さらに、商品、サービスに関する実績がハリボテだったり、過去はまったく脈絡もないビジネスをしていたりする人も、往々にして見つかったりします。
インターネット黎明時代に、何の実績もない輩がSEOコンサルタントを名乗っていたケースは多々あります。ほかにも、不動産業者が民泊コンサルタントを、普通の営業マンが営業カウンセラーを、単なる保険屋さんが相続カウンセラーを乗ったりすることもあるでしょう。
こういった実情を、しっかり「裏取り」する必要があります。もちろん、多様性の時代、一人の人間が複数の顔を持つ可能性はあります。それ自体をことさら否定する意図はありませんが、まず大事なのは、その人の「バックボーン(背景)」をしっかりと押さえた上で、違和感がないかです。
次に、金額が相場から見て妥当か、最後に「キャッシュポイント(利益確定)」に都合がいいから「ニワカ専門家」を称していないか、この3点は必ず確認しましょう。