「どんな企業でも入札に参加できる」がアダに!?
前回に引き続き、入札ビジネス参入のデメリットとは何かを見ていきましょう。
③利益が薄くなる場合もある
入札しても落札しなければ意味がないので、ギリギリまで安くして利益が薄くなることがあります。
基本的に入札は、一番安い金額で落札されます。あまりに金額が安いと調査が入りますし、企画内容を加味し総合評価をする場合など例外もあるのですが、私たち仕事をする側にとっては、ギリギリまで安くした状態で金額を出すので、仕事の失敗は許されないということです。
仕様書どおりにやれば、基本的にはよいわけなので、そのなかでできるだけコストを下げ、決められた落札金額のなかで利益をあげようとするわけですから、当然余計なサービスなどはせずに、ギリギリの線でがんばることになります。
つまり、公的機関(仕事を発注する側)にとっては、かゆいところに手が届くようなサービスを求められないということになります。
入札に参加するためには、全省庁統一資格等の入札資格の申請が必要になります。ここである程度の審査があるということにはなっています。けれども、実際には、税金をきちんと払っていて書類をそろえることさえできれば、資格を申請して取得できないケースは、ほとんどありません。
つまり、資格を持ってさえいれば、どんな企業でも入札に参加できるということです。つまりハードルが低い分、安くて質の悪い仕事をする企業が入ってくるおそれがあることが考えられます。
この競争から抜け出るためには、価格以外の条件、つまり企画や仕事内容、仕事の質で勝負できる案件をさがすことも重要なポイントになってきます。
支払いは基本的に「仕事の終了後」
④保証金を求められる場合がある
「入札保証金」や「契約保証金」が必要となる場合があります。
公的機関(発注側)は、手間と労力と時間をかけて入札情報の公示をおこない、契約する企業を決めます。その落札した受注企業が、契約をやめるといいだした場合、もう一度入札をおこなわなければなりませんし、多大な手間と労力をかけたことになります。
そのため、落札した受注企業が契約締結しなかった場合に備え、入札をする企業が見積もる額の100分の5以上の保証金を納めさせるよう、法律で定められています。これを「入札保証金」といいます。
たとえば、1000万円で入札したいと考えたときには、
10,000,000円×5/100=500,000円
この50万円を事前に納めなければなりません。
また、この「入札保証金」は、落札した受注企業が債務不履行になった場合には、国庫に帰属することも法律で定められています。
さらに、「契約保証金」というものがあります。これは、契約締結をしたけれども、契約を最後まで履行しなかった場合に備えて、契約した額の100分の10以上の保証金を納めるよう、これもまた法律で定められており、その保証金のことを指します。債務不履行の際には、こちらも国庫に帰属します。
入札をして落札できなかった企業は、入札の際に納めた「入札保証金」を返還してもらうことができます。けれども、返還までには入札終了後1カ月程度かかる場合もあります。落札した受注企業には、契約を履行し終了したあとに返還されることになっています。
このように、法律で決められた保証金を納入しなければならないため、まとまったお金を用意しなければなりません。当たり前ですが、金額がとても大きな入札案件に対して入札するときには、保証金も大きくなります。
最近は免除される案件も多く見られます。入札前に必ず確認をしてください。
⑤支払いが仕事終了後になる
落札してから仕事が終了するまで、お金は支払われませんので、必要な費用はすべて持ち出しになります。まれに、案件によっては、途中の段階で支払われるものもあるようですが、通常は仕事が終了してから入金まで1カ月くらいはみておいたほうがよいでしょう。