儲けた金には損がついて回る。貯めた金には信用がつく
相場の神様と呼ばれた山崎種二(やまざきたねじ)は立志伝中の人物です。明治41年、尋常小学校を卒業すると同時にわずか86銭を懐に東京に出た山崎は、山繁商店の小僧として商売人人生をスタートさせ、やがて米相場の下地を身につけて成功、のちに山種証券(SМBC日興証券)を創業、山種美術館も設立しています。
山崎の商売の基本は、派手な儲けを狙うよりも、地味な儲けを大切にするやり方でした。投資に限らず、どんな商売もそうですが、大きく商売をしようとすれば、大きな資金が必要になります。そのためには信用が欠かせません。
そこで山崎は毎月毎月コツコツと預金を積み、借りたお金は必ず期日には返すようにしました。相場の儲けに比べれば銀行の利息などわずかなものですが、山崎にとって大切なのは「いくら貯めたか」ではありませんでした。
毎月毎月コツコツと貯金を続ける意志の強さや、人並みならぬ努力こそが重要で、その地道な姿勢こそが信用につながると山崎は考えたのです。
相場の世界はどれほど派手に儲けても、たった一回の失敗ですべてを失うこともある世界です。山崎によると、相場を当てた人の話は数限りなく聞くものの、最後までうまく行った人の話はとても少なかったと言います。
儲けた金には損がついて回るのに対し、貯めたお金には人としての信用がついてくるのです。
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