拡大する健康被害――がん治療で懸念される「怪治療」とは?

今回は、がん治療の分野で懸念される「怪治療」について見ていきます。※本連載は、生命保険の専門家であり、自身も医師として活躍する佐々木光信氏の著書、『比較検証、がん保険 』(保険毎日新聞社)の中から一部を抜粋し、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」の種類と変遷を紹介します。

安全性が確立されていない「サプリメント」

「がん」を罹患後、多くの患者やサーバイバーは民間療法を含めた補完代替医療を受けます。その多くは経口摂取のサプリメントですが、その実態はよくわかっていません。『国立病院機構四国がんセンター』の研究はありますが、古い研究のため、最近のデータがありません。

 

補完代替医療の定義は図表1のとおりです。この分野の専門学会として日本補完代替医療学会が設立され活動しています。

 

[図表1]補完代替医療の定義

 

特に、サプリメントなどの体内に摂取するものについては、安全性や受療しているがん治療への弊害も懸念されています。筆者が、一番信頼して参照しているのは国立健康・栄養研究所が公表している「健康食品」の安全性・有効性情報というサイトです(図表2)。しかし、日本は諸外国と比較してこの分野に関する国の取り組みが遅れているとされています。

 

[図表2]補完代替医療に関する参照サイト

藁にも縋る思いの患者に付け込む「怪治療」

がん患者は、様々な不安を抱えています。そして、藁にも縋る思いで様々な療法に手を出します。このような患者の不安に付け込み標準外の怪治療とも言うべき医療が横行していますが、自由診療のために実態の把握や、医師法、薬事法などを除くと医療の監視が行き届かないために健康被害も防止できない状況です(図表3)。

 

[図表3]標準外施術の報道事例

 

このような実態があるため混合診療の全面解禁などが進めば、さらに健康被害が拡大すると懸念されています。

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    株式会社保険医学総合研究所 代表取締役社長

    慶応義塾大学医学部卒後、膀胱癌研究で学位取得、三四会賞受賞。
    医療機関勤務を経て、千代田生命保険相互会社医事調査課長、医務部長。2001年アメリカンファミリー生命保険会社で医務部部長、チーフメディカルディレクターを経て独立、現職。
    保険医学を中心とした危険選択(保険引受、保険支払)実務、商品開発実務に30年以上従事、FPへの情報提供や保険医学・営業教育に関する講演活動を行う。
    医学の進歩と生命保険の関係や医療介護保険制度と民間保険を中心に研究活動に取り組み、この分野の論文など研究成果多数。保険にテレビ電話を使用した危険選択手法を導入、経済誌「フィナンシャルタイムス」やNHK「クローズアップ現代」などで取り上げられる。
    日本保険医学会評議員、生命保険協会医務部会委員など歴任、現在インシュアランス誌論説委員。
    医師、医学博士、介護支援専門員資格、日本保険医学会認定医、日本医師会認定産業医資格で、所属学会は、日本癌治療学会、日本泌尿器科学会、日本保険学会、日本保険医学会、日本生命倫理学会等。

    著者紹介

    連載保険加入前に知っておきたい「がん治療」の基礎知識

    比較検証、がん保険

    比較検証、がん保険

    佐々木 光信

    保険毎日新聞社

    生命保険の専門家である著者が、近年長足の進歩を遂げている「がん医療」に保険会社はいかに対応しているのか、そして今後のがん医療はどう変化していくのかを解説しながら、現代のがん保険需要にマッチした主要保険会社のがん…

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