「がんは切るもの」という時代は終わりつつある!?
最近のがん治療関連の学会は、ほんの数年前に比べ大きく様変わりしています。あたかも、がん治療の主役が交代したかのように薬剤治療の発表会場に聴衆があふれかえるようになっています。
また、以前は参加者が少なかった免疫療法の研究発表の場にも多くの医療関係者が集まり、会場に入れないような状況になっています。
このような状況の背景には、遺伝子検査技術の進展により個別化医療を牽引する抗がん剤の普及と、免疫療法の登場があるようです。
現時点でも外科的治療や放射線治療といった局在的な腫瘍の治療に関する重要性に変わりはないですが、今後は「早期がん」にも抗がん剤治療を選択するなど治療に対する考えが根底から変化しそうです。
以前は匙を投げていた「進行がん」の治療にも光が
部位別に、悪性新生物の診療ガイドラインが公表され、診療医の治療上のバイブルとして利用されていますが、基本的にがんの部位、がんの進行度(ステージ別)に合わせて治療方法が組み立てられています。
しかし、現在このような治療の骨格が変化しそうな気配すら感じる状況です。既に、乳癌治療の重鎮がステージ別治療の時代は終わったと発言するまでになっています。
早期のがんに対しても集学的な治療が必要で、匙を投げていた進行がんに対しても治療が行えるようになってきたということで、まさにがん治療におけるパラダイムシフトが進捗しつつあることの証拠だと言えるでしょう。
[図表]治療のパラダイムシフト