法人を経営している相談者「両親の相続対策がしたい」
ある日、過去に法人と個人で生命保険契約をお預かりしている経営者Aさんから、私の携帯電話に「相談があるので来てもらえないか?」と連絡が入りました。「両親の相続対策ができていないので、気になっています」とのこと。こちらの相談者の概要は以下のとおりです。
業種:小売業
年商:8,000万円
Aさんは3人兄弟の次男で、長男と妹がいます。両親は某県の地方都市に在住で、それなりに土地を持っている資産家で「いまは元気だからよいが、両親に何かあると相続でいろいろと問題が起きそうで心配」だと言います。
両親とは少し疎遠になっており、事業を始める際に経済的な援助をしてもらってはいるもののその返済は行っていない。また、毎年の年末年始に子どもを連れて帰省はしているが、一同が集まっているので金銭的な話や相続の話は一切できていないとのことでした。
相続を考えるために…相談者の法人経営状況
まずは法人の経営状況を確認するため、直前期の決算書と月次試算表を拝見しました。利益は多少出ているものの、借入金返済をした後のキャッシュフローはギリギリ+αで決して好調とは言えない内容です。ただ、いくつか明るい材料もあり、決して悲観する内容ではありません。
これを踏まえて私からAさんに、「一度、ご両親にこの資料を持ってご報告に行きませんか? 近くに来る用事があったので、と寄られてはどうでしょうか。そこで経営のことや相続のことを話し合われてはどうでしょうか?」とご提案しました。
しかし、私からのいきなりの提案に戸惑われた様子で「う〜ん、考えてみます」とだけおっしゃられて、その日の面談は終わりました。
1週間ほど経過したある日、Aさんから「奥田さんが先日おっしゃった両親との面談ですが、いろいろと考えた結果、行こうと思っています。ただ厚かましいお願いなのですが、一緒に来てもらえませんか? どうも一人ではキチンと話せる自信がなくて……」とおっしゃられたので、二つ返事で「行きましょう!」とお答えしました。