抗がん剤の新しい主役となる「分子標的薬」
がんの化学療法は、専門的には「化学物質を用いて病原性微生物や悪性腫瘍細胞の宿主生体内での発育を抑制あるいは死滅させる療法、一般的には悪性腫瘍治療時に使われることが多い」と解説されます。抗がん剤以外にも細菌用の抗生物質も含まれます。
<抗がん剤の種類>
①従来の細胞傷害性抗がん剤(殺細胞性抗がん剤)
●細胞の分裂サイクルへの障害、分裂増殖する健康な細胞にも毒性
②分子標的薬
●新しい抗がん剤の主役で、これまでと異なる副作用も見られ、かつ非常に高額
●遺伝子検査などのコンパニオン診断(投与する抗がん剤の治療効果を予め確認する診断検査)による個別化医療の中心をなしている
抗がん剤治療患者の半数は「外来通院治療」に
分子標的薬の登場で化学療法治療は大きく変わりつつあり、今後のがん治療の中心になると予想されています(連載第1回参照)。
現在では、進行がんの患者にとって必須の治療法であり、副作用を抑える「支持療法」も進歩しています。その影響もあり、外来で抗がん剤投与が行われる外来化学療法も普及しています。すでに抗がん剤治療患者の半数は外来通院治療の時代に突入しています。
[図表1]がん医療の選択肢
[図表2]治療の比較
最大の問題は、抗がん剤の高額化で、内服薬でも非常に高額な薬剤が出現しています。医療における経済格差の問題の象徴です(下記図表3参照)。
[図表3]抗がん剤治療の環境