5年間多く「厚生年金保険料」を払うことの効果は?
実際に60歳で仕事を辞める場合と、65歳まで仕事を続けるのとでは、どれほど年金に差が生じるのだろうか。
厚生労働省の調査によると、大卒サラリーマン(正社員)の平均給与は月収で40.8万円、年収で673.6万円。59歳時点の給与は月収53万円だとすると、60歳で定年を迎えた時点で65歳から受給できる年金額は、老齢厚生年金が月13.6万円ほど。併給の老齢基礎年金が満額受給なら、月に18.1万円ほどの年金がもらえることになる。
◆年齢別「大卒サラリーマン(正社員)」の平均給与
20~24歳:24.3万円/356.2万円
25~29歳:28.3万円/474.0万円
30~34歳:32.6万円/549.4万円
35~39歳:37.9万円/645.5万円
40~44歳:42.4万円/704.2万円
45~49歳:46.7万円/774.5万円
50~54歳:50.6万円/839.7万円
55~59歳:53.2万円/879.1万円
60~64歳:44.9万円/690.1万円
※数値左から平均月収/平均年収
60歳から65歳まで、正社員として再雇用で働いた場合を見てみよう。
国民年金は基本的に20~60歳の40年間の加入であるため、60歳以降に払うのは厚生年金保険料だけ。仮に月収45万円なら、保険料はおよそ月4万円。つまり5年間で払う保険料は240万円程度。そして、65歳から受け取る老齢厚生年金は15.4万円程度となり、年金合計19.7万円程度になる。
60歳以降は非正規社員として、非正規社員の平均給与を得る場合はどうか。
大卒非正規社員「60~64歳」の平均給与は、月収31.9万円、年収で498.6万円。月々の給与から天引きされる厚生年金保険料はおよそ3万円。そして、65歳から手にする老齢厚生年金は14.9万円程度となり、合計19.2万円程度となる。
正社員と比べて月5,000円の差があるものの、60歳定年退職者と比較すると、月1.1万円ほど多くの年金がもらえる計算だ。
なにより、60歳以降もサラリーマンを続ければ、その間、給与が得られるという点は大きい。そこで貯蓄を増やすなり、ローンの返済を進めるなどできる。
現役世代は、月1万円の差がどれほど大きいか、実感できないかもしれない。しかし収入のすべてを年金に頼る高齢者の立場になると「月1万円」の年金の増額はかなり大きいはずだ。
「月額1万円増えて、本当にありがたい」
「定年後の5年間、よくがんばった」
年を取った未来の自分は、そんなふうに、定年退職後も働いた自分に「ありがとう」といって感謝しているかもしれない。
60歳で引退するかどうかは、本人の気持ち次第ではあるが、心身の負担の大きさと「60~65歳までの給料」「将来の年金1万円増額」をしっかりと比較検討し、後悔のない選択をするようにしたい。
[参照]
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