中国が“問題の先送り”を連発する「2つ」の理由
1990~2003年までの日本における不動産バブル崩壊と不良債権処理の過程では、公的資金注入に対する世論の批判が強く、金融構造改革が遅れ経済の長期停滞につながった。これに対して中国は「独裁国家なのでバブル処理が迅速に行われる」という期待があった。
しかし中国は日本どころではない問題の先送りが連発されている。習政権がそうした合理性のない悪手を採り続ける動機はどこにあるのだろうか。2つの理由が考えられる。
1.中国の「病状」が深刻
第1に病状が深刻で患者は外科手術に耐えられない、のかもしれない。日本の不動産貸付はピークでGDPの2割程度であった。しかし中国の場合地方政府の別動隊である地方融資平台の債務残高だけでGDP比53%と日本の比ではない。
さらに地方政府は高騰した土地利用権を販売することで総収入の4割以上を稼ぎ、固定資産投資や産業補助金の原資としてきた。地価下落を認め土地売却収入が激減すれば、地方財政は成り立たなくなる。日本のバブル期以上に高騰した不動産価格を維持するしかないのだろう。
2.共産党体制×資本の規律がなじまない
第2の可能性はそもそも共産党体制が資本の規律となじまないということである。
日本の金融改革は、物件のキャッシュフローと資本コストにより公正な不動産価格評価を行うことから始まった。しかし中国には資本コストで投資プロジェクトを評価するという慣習がない。恣意性が当たり前の党主導の行政において、資本の規律に従わせることは無理なのであろう。となるとゾンビを生かし続けるしかない。
活路「新質生産力」は、中国をさらに孤立させる
このように見てくると不動産バブルが慢性疾患化し、患者は緩慢に衰弱し続けるほかはなくなる。ならば中国経済の活路はどこにあるのだろうか。
3中全会の答えは、競争力が圧倒的に強いソーラパネル、EVなどのハイテク、グリーン産業等の「新質生産力」で世界市場を圧倒し続けるということである。
しかしそれはバイデン政権のみならずトランプ氏も欧州も拒絶する政策である。対中批判が高まり、中国はさらに孤立せざるを得ない。
7/18日の二都物語は、米国の圧倒的優位を物語っている。
武者 陵司
株式会社武者リサーチ
代表
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